慎重に作品を設置する作業員たち（彫刻の丘で）

　１０月２日に開幕する第２９回ＵＢＥビエンナーレ（現代日本彫刻展）に向け、会場となる常盤公園の彫刻の丘（野外彫刻展示場）では、出品作の設置作業が進んでいる。成建工業（河口剛社長、西岐波道徳）の作業員６～７人が、炎天下や悪天候でも中断することなく、運び込まれた作品を作家が意図する位置に取り付けている。

　ショベルカーで掘った土の中に木製の土台を設け、完成した作品や骨組み段階の作品を据え付けて埋め戻すまでの作業を１日１点のペースで行っている。遠くは群馬県から輸送業者を経て運び込まれるため、日程を先延ばしにはできない。大雨の中、予定通り午前４時から搬入を始めた日もあった。

　同展は、彫刻越しに見える公園の景観にも作家のこだわりがうかがえるのが一つの特徴。斜めに伸びる真ちゅうが象徴的な「Ｓｉｌｖｅｒ　Ｌｉｎｉｎｇ（シルバー・ライニング）」は、作家の９０９（ナイン・オー・ナイン）さんがさまざまな角度から観察し、自身の手で土の傾斜を整えていた。

　成建工業は図面に基づく土木関連業務が主。作業員たちは、普段はできない作業を楽しみながらも慎重に進めているという。土木部の穐吉修次主任（６９）は「作家の意向が一番なので、イメージと違えば向きを変えたりする。遠方からＵＢＥビエンナーレに出品した作家たちに、少しでも気持ちよく帰ってもらいたい」と話した。

　昨年９月の１次審査で、世界４９カ国２９９点の模型作品プランから、実物制作指定作品プランに選ばれた１５点が並ぶ。現地で制作している作家もおり、８月末までには完了する見通しだ。