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父の遺志継ぎ八重山古典民謡集 歌詞集、ユンタ集、拾遺集 没後38年…3冊出版

父・信喜さんの遺志を継いで発行した遺稿集3冊を手にする仲程信次さん。左は信喜さんの遺影、手前は信喜さんが残した原本=4月17日、石垣市真栄里の信次さん宅

 石垣市字石垣出身で長年にわたって八重山古典民謡の歌詞や「工工四」を採集・記録し続けた故・仲程信喜さん(1919~1986年、享年67)の遺稿集を、次男の仲程信次さん(72)=石垣市真栄里=が自ら印刷製本してまとめ、「八重山古典民謡歌詞集」(171㌻)「八重山古謡ユンタ集工工四」(71㌻)「八重山民謡工工四拾遺集」(123㌻)の3冊を1日付で発行した。信喜さんが出版を予定した1986年から38年を経て日の目を見た。山田書店が販売もしている。信次さんは市立図書館にも寄贈する。

 信喜さんは幼いころより祖母から子守唄のように古謡や民謡を聴かせてもらい、自らも進んで習うように。17歳からは三線を始め、教師免許も取得した。

 一方で次第に八重山民謡の現状に対して意見や要望を持つようになり、例えば工工四に書かれる歌詞が一部だけで全体を網羅していないことを憂慮。正しい歌詞を1日も早く調査する必要性があるとして1965年ごろから本格的な調査を行い、古い歌詞を採集し、作曲者の氏名・年代などを記録するなど歴史的関連事項も発掘してきた。

 その成果をもとに85年4月、3冊の原本を手書きで完成させた。「鷲ぬ鳥節」は13番までの歌詞を残している。仲程氏は序文をしたため、当時八重山文化研究会会長だった牧野清さん(1910~2000年)の祝辞文も受けるなど出版に備えた。

 信喜さんは序文で「亡き祖母の愛情に酬い、その祖母の思いに誓った使命の一端を果たしたという心の喜びがある。本書が八重山音楽の将来にいささかでもお役に立つことがあればそれこそ望外の光栄であり喜び」と記した。

 牧野さんも「本書は彼が幼少時から通算六十余年に亘る八重山歌謡との関わり合いの中で得た成果と『近年の八重山の歌曲の乱れは古典に回帰すべき』という一貫した彼の信念と主張から生まれたものであり、八重山歌謡の将来に裨益する処必ずや大なるものがあると信じる」と期待していた。

 ところが、信喜さんは病に倒れ、出版することなく86年6月に他界した。

 そんな亡き父の遺志を継ごうと信次さんは2010年6月、原本をコピーしてつづった私家本3冊を発行し、親類や信喜さんの知人らに配布したが、手書き原稿のため一般の人は読みにくいだろうと今回、手書きの原本を校正しながらパソコンで活字化、工工四も作製するなどして発刊にこぎつけた。

 作業に1年余りを要したという信次さんは「父の遺志を果たすことができてほっとしている」と胸をなでおろし、「多くの人に歌詞を知ってもらいたい」と話している。山田書店の要望で各10冊を納品、各3000円で販売されている。

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