洋上風力発電関係3社、住民と初の津波避難訓練 能代市

津波の発生を受け、歩いて避難する洋上風力の事務所員ら
秋田港・能代港洋上風力発電所を運営・管理する3社と能代市下浜自治会合同の津波避難訓練が27日、同市日和山下の能代運転管理事務所などで行われた。海上で作業する人への迅速な情報伝達や、高台にある避難場所への避難経路を確認した。洋上風力発電所で津波を想定した訓練の実施は国内で初めて。
秋田、能代両港風力発電所の事業を手掛けた「秋田洋上風力発電」(AOW、能代市日和山下)、風車本体の運転保守業務を担う「ベスタス・ジャパン」(東京)、風車の基礎や海底ケーブル、陸上送変電設備の運転保守とアクセス船(CTV)の運航管理を行う「丸紅洋上風力開発」(MOWD、東京)の3社で発電所を運営。協力会社の「アチハ」(大阪市)を含む総勢約60人体制で進めている。
4年度の運転開始以来、初となる津波を想定した避難訓練には事務所員、地元住民を含め14人が参加。地震が発生し、同市沿岸に高さ5㍍の津波警報が発令された想定で実施した。
緊急地震速報があり、米代川河口に近いMOWDの能代運転管理事務所で激しい揺れを感知。事務所のマリンコントロールルーム(中央管理室)から無線機を使って洋上風車でメンテナンス作業を行うMOWD、ベスタスの社員、CTVに地震発生を連絡した。
津波警報発令を受け、事務所員と地元住民が津波時の避難場所となる能代公園のあずまや(標高24㍍)を目指して歩いた。夜間に林を通ると迷う恐れがあることを踏まえ、最短距離の傾斜を上っていった。あずまやでは点呼で人数を確認し、東京本社(大手町)に避難完了を連絡した。
また警報発令を洋上の作業員と情報共有するとともに、各パーティーの状況も確認。MOWDの東京本社に洋上作業員と事務所員の安否などを連絡した。
事務所では座学を行い、市防災危機管理室の職員から災害への備えや避難の留意点を学んだ。職員は「太平洋側より日本海側の方が地震が起きてから津波が来るのが早い」と注意を呼び掛けた。
避難に要した時間は約5分。MOWD安全(HSE)担当の前田啓彰技術統括部長(50)は「洋上風力では恐らく世界初となる津波想定訓練だったが、うまくいった。洋上の連絡確認、自治会との訓練は有意義だった。洋上特有の話も聞けて良かった」と総括した。
下浜自治会(約30世帯)の荒川一則会長(72)は「下浜自治会に自主防災組織はあるが、高齢化で活動はないに等しい。AOWとの合同の訓練は心強い」と話した。
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