長野県宮田村産のニジマス 仏料理コンク最高賞メニューの素材に
ニジマスの出荷作業に追われる植松峰己雄さん(左)
長野県宮田村新田のいぶき養鱒場(植松峰己雄代表)が養殖したニジマス「いぶきサーモン」が、フランス料理の国内コンクール「第20回メートル・ド・キュイジニエ・ド・フランス」(11月9日、東京)で最高賞のジャン・シリンジャー杯を受けた8作品の中に素材として使われていたことが分かった。国内でも権威あるコンクールでの採用。「おいしいは武器になる」をモットーに、この地で川魚と向き合ってきた植松代表の15年間の思いがコンクールを通じて花開いた格好だ。
■伝統や技能競う世界基準コンク
コンクールは、フランス料理の伝統的なもてなしや、調理法などの技能を競い合う国内唯一の世界基準によるレストランのサービス競技会。国内のトップシェフら34人がサーモンおよびカラスミを素材に腕を競い合った。受賞作品の紹介文に「長野県産トラウトいぶきサーモンのポム・アンクルート」と記され、宮田産ニジマスの採用が分かった。
■好条件下で創業 災難克服し再生
植松代表が村内での養殖に着手したのは42歳になった2008年から。もともと養殖への関心は高く、一帯の自然環境のほか、養殖に必要な水も中央アルプスの冷涼で豊富な水量、花こう岩質で中性に近い弱アルカリ性の性質など、各種条件がそろっていたため創業を決意したという。
ただ3年後の11年10月、近くの巨岩が崩落し水路を遮断する事故が発生。水の来なくなった池で大量のニジマスのほか、各魚種が死滅する不幸に遭遇する。生き残った数パーセントのニジマスの幼魚と卵が取れる親を元手に再スタート。周辺の豊かな自然や川魚の生命力から連想される「息吹」を事業所名に用い、再生へと一歩を踏み出した。
■口コミで広がり注文も安定的に
現在は大小22面の水槽(養殖池)を保有し、ニジマスのほか、イワナ、ヤマメ、アマゴと夏季のみアユなど計約50トンを養殖。モットーとする「おいしいは武器」は今も健在で、通常の出荷サイクルの2~3年に対し4~6年と、育成を重視する姿勢は変わらない。じっくり育てている状況は口コミによって広がり、各地の料理家らが直接視察し顧客になる例も。コロナ禍で地域の飲食店がやむなく休業する中、注文は全国から安定的に入ったという。
植松代表は「経営的には苦しい時期もあったが、薄利多売をせず、じっくり育てる姿勢を貫いてきたのはよかった」と振り返り、「今後も『川魚なら、いぶき養鱒場』と言われるよう取り組んでいきたい」と意欲を新たにしている。
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