秋冬登山、リスク判断できる人と 山岳気象予報士・猪熊さんに聞く 長野県

秋冬の八ケ岳連峰は地形的な特徴から西風が強まる。地図を基に解説する猪熊隆之さん
日ごと秋が深まり、色付く山々。気温が下がり、八ケ岳連峰では初冠雪の便りも。秋から冬への季節の変わり目。山では気象環境が変化しやすく、寒暖の差も大きい。登山には難しい判断を迫られる場合もある。これからの八ケ岳登山に気を付けることは何か。山の天気予報専門会社のヤマテン(長野県茅野市豊平)を営む山岳気象予報士の猪熊隆之社長(53)に話を聞いた。
猪熊社長は2007年に気象予報士の資格試験に合格し、山岳ガイドや引率者の天候判断の誤りによる遭難をゼロにしたいと、11年にヤマテンを創業した。今月7日朝に栃木県の朝日岳で60~70代の男女4人が亡くなって発見された山岳遭難では、同社は3日午前、中部山岳から栃木、福島県境の那須連峰を含む東北地方、北海道の広い範囲の山岳に極めて気象リスクが高まるときに発表する「大荒れ情報」を出していた。
秋から冬にかけての登山について、猪熊社長は「秋の登山は冬山登山となるリスクも考えるべきだが、経験が浅い人やグループがリスクを十分に理解せず、山に入るケースが増えている」と指摘。背景には、紅葉や雪山の美しい写真とともに発信されるSNSの情報を基に、秋や冬の登山の良い面だけを見て、リスクにまで思いが至っていない実態があるという。
山頂や稜線ではなく、麓のまちの天気や大雑把な判定を参考に入山を決めているケースも。「晴れていても急に吹雪くことがあるのが山岳。山に入るのであれば、山特有の気象状況を把握しておくことが必要」と強調する。
秋から冬にかけての八ケ岳連峰は、乗鞍岳と御嶽山の間を抜けて強まった西風を直接受ける地形的な特徴があり、「森林限界より上の気象条件は厳しくなる」と語る。低体温症になる主な原因は「風」「濡れ」「低温」。「特に強い風や着衣の濡れにより体温は奪われる」という。
入山に当たっては、事前に登山ルートの特徴をよく把握し、天気は当日だけでなく、入山の3日前ほどから確認してリスクに備えるよう求める。「天気図や気象状況も参考にしながら、危険性を正しく認識し、適切なタイミングで引き返す判断ができる人と一緒に登り、経験を積んでほしい」と話した。
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