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稲魂招き豊作祈る 「秋名アラセツ行事」4年ぶり制限なし 龍郷町秋名・幾里

早朝、「ヨラ、メラ」の掛け声で「ショチョガマ」を揺らす男衆=25日午前6時半ごろ、龍郷町龍郷町秋名

 稲魂(にゃだま)を招き神々に豊作の祈りをささげる─。鹿児島県龍郷町秋名・幾里地区に伝わるアラセツ(新節)行事の「ショチョガマ」「平瀬マンカイ」が25日、集落の山腹と海岸であった。新型コロナ下以降、初めて制限を設けずに開催。ショチョガマは4年ぶりに行われた。平日にも関わらず多くの住民や見物客が訪れ、シマ(集落)で受け継がれる伝統の祭りを見守った。

 秋名アラセツ行事は収穫に感謝し、翌年の豊作を祈る稲作儀礼。戦中戦後に一時途絶えたが、1960年に保存会が発足し行事を復活させた。85年には国の重要無形民俗文化財に指定された。

 新型コロナ下では密集や密接を避けるため、ショチョガマは中止・縮小を余儀なくされた。平瀬マンカイは一般の入場を制限し関係者のみで実施していた。

 夜明け前の午前5時ごろ、集落と田袋を見下ろす山の中腹に建てられたショチョガマ(片屋根のわらぶき小屋)でチヂン(太鼓)が打ち鳴らされると、住民らが続々と集まり祭りが始まった。祭壇にはカシキ(赤飯)やミキ、焼酎が供えられ、神役のグージが稲の精霊「稲魂」を呼び寄せる祭詞を唱えた。

 屋根に上った男衆約100人は「ヨラ、メラ」の掛け声で小屋を揺さぶり、午前6時半ごろに小屋が南側に倒れると、周囲から歓声が上がった。その場で八月踊りの輪もつくり、歌と踊りで喜びを分かち合った。

 秋名アラセツ行事保存会の窪田圭喜会長(82)によると、屋根には稲に見立てたダンチク(暖竹)の葉が飾られており、稲穂が重く垂れるくらい豊作になるようにとの願いが込められているという。小屋は南北どちらに倒れても翌年は豊作になるとされている。

 生後11カ月の息子を抱いて屋根に上った本山健太さん(30)は「自分も小さい頃から(ショチョガマに)乗って育った。子どもにも同じ経験をさせることができうれしい。健康に大きく育ってくれたら」と目を細めた。

二つの岩で男女が歌い踊り、海のかなたの神々に豊作を祈る「平瀬マンカイ」=25日午後4時ごろ

 平瀬マンカイは午後4時ごろから、海岸にある二つの岩の上で行われた。沖側の「神平瀬」にはノロ役の女性5人、集落側の「女童(メラべ)平瀬」にはノロの補佐役の男女7人が上って向かい合い、歌の掛け合いと手踊りを繰り返して海のかなたの楽園・ネリヤの神々に豊作を祈願した。最後は海岸で保存会の面々が八月踊りを舞い行事を締めくくった。

 窪田会長は「天候にも恵まれ、大勢の方々に関心を持っていただき感無量。見に来た人たちの健康も願った。これからも400年以上続く伝統を守っていかなくては」と話した。

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