ブナの巨木の下で歌や演奏に聴き入る参加者（八峰町の留山で）

　白神山地の世界自然遺産登録30周年を記念した催し「留山森の音物語」が19日、八峰町の留山であり、参加者がブナの森を散策したり、歌やトランペットの演奏などを聴いたりと有意義な時間を過ごした。留山森の音物語は９～11月にも月１回開催し、訪れる人に癒やしの時間を提供する。

　留山森の音物語は、白神山地で歌や演奏を楽しむ内容で、町をはじめ、地元の白神ネイチャー協会、町白神ガイドの会、八峰白神ジオパークガイドの会、町観光協会、白神八峰商工会といった団体でつくる実行委員会（山崎典康会長）の主催。
　７月29日を初回に、11月まで月１回の全５回を計画したが、７月中旬の記録的大雨で留山に至る林道や遊歩道の一部で崩落や洗掘などが発生し、災害復旧に当たっていたことから、19日が初回となった。
　この日は県内各地、福島県や神奈川県から22人が参加し、白神ガイドの会が案内。留山は標高１５０㍍の低山帯に広がるブナを中心とした森。ガイドは、水源を守るために地元住民が木の伐採を「留めた」と言われる留山の保全の歴史などを紹介した。
　樹齢約３５０年のブナの巨木の周りを“コンサート会場”とし、大館市を拠点に活動するポップスデュオ 「ダックスムーン」、能代山本在住・出身のトランペット愛好者でつくる「Ｔｒｕｍｐｅｔ　Ｑｕａｒｔｅｔ　Ｗａｌｎｕｔｓ」の２組が歌を披露したり、トランペットやフリューゲルホルンの音色を響かせたりした。このうち、ダックスムーンは楽曲「白神物語」の中で「ブナの林を　君と歩けば　小鳥も歌う　白神の森」と歌った。
　秋田市出身で福島県郡山市に暮らす相場順一さん（49）は「ガイドさんの案内で白神山地を歩いてみたくて申し込んだ。何千年と生きてきた森の中を歩くと、ブナなどの植物に包まれるようだ。生まれ育った秋田の魅力に触れた」と語った。
　山崎会長は「留山でのコンサート開催が夢だった。ブナの森は癒やしの森であり、くつろいでもらいたい」と話していた。留山の入山はガイド同伴が求められている。
　留山森の音物語は今後、▽９月16日（申し込み締め切り同８日）▽10月21日（同13日）▽11月11日（同２日）──に開催。参加費はいずれも１千円。問い合わせは町産業振興課（☎76・４６０５）へ。