奄美の自然保護活動に尽力 薗さん、鳥飼さん 環境省「みどりの日」表彰

環境省「みどりの日」大臣表彰を受けた(右から)薗博明さん、鳥飼久裕さん=4月29日、鹿児島県奄美市名瀬
自然環境の保全などに顕著な功績があった人や団体を表彰する環境省の2023年度「みどりの日」自然環境功労者大臣表彰者がこのほど発表された。鹿児島県内からNPO法人環境ネットワーク奄美代表の薗博明さん(88)、NPO法人奄美野鳥の会副会長の鳥飼久裕さん(63)=いずれも奄美市名瀬=が表彰を受けた。2人は南海日日新聞の取材に対し、「これまでの活動は無駄ではなかった」「保全に向け今後も知恵を絞っていかなければ」とそれぞれ語った。
表彰は▽保全活動▽いきもの環境づくり・みどり▽自然ふれあい▽調査・学術研究▽国際貢献―の5部門。今年度は国際貢献以外の4部門で全国の21個人10団体を表彰した。奄美の2氏はいずれも保全活動部門で、奄美大島の自然環境保護活動に尽力したことが評価された。
薗さんは、1995年にアマミノクロウサギやルリカケスなどを原告とする自然の権利訴訟を起こした。自然破壊や環境問題に多くの人の目を向けさせたほか、奄美大島の野生生物や自然生態系の貴重さを海外にも広めた。
教諭として教え子たちへ「古里を誇り語れる人になって」と伝え続け、「奄美の誇り」とは何かを探してきた薗さん。郷土史研究や母、祖母らの言葉から、奄美の生活や文化、精神が豊かな自然の上に成り立っていると思い至ったという。
大臣表彰を受け、「奄美の人も動物も植物も水に生かされている。今後は人の手で変えてしまった環境を元に戻すということも考えていってもらいたい」と話した。
鳥飼さんは、2000年に東京都から奄美大島へ移住。奄美大島で固有種のオオトラツグミやアマミヤマシギの保護増殖、生息調査運営に取り組み、奄美大島の鳥類の保護活動、普及啓発活動を精力的に行っている。
鳥飼さんは「山は切って利用するものという時代から、少しずつ、自然そのものに価値があるという意識が浸透してきたと思う。一方、人の生活様式が変わったことでロードキル(野生動物の交通事故死)など新しい問題が出てきている」と指摘。
今後の課題として、「人と(動植物が)いかにして共に生きていくか、新しいルールは人間が考えるしかない。知恵を絞っていかなければ」と語った。
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