植生の荒廃が進んでいるとみられる尖閣諸島魚釣島の南側斜面＝（石垣市ホームページより）

　石垣市はことし1月29、30日に実施した尖閣諸島周辺海域を含む「石垣市周辺海域実態調査」の報告書をホームページ（ＨＰ）で公表している。尖閣諸島付近に比較的多くの魚群が分布する可能性を示唆し、ドローンの観測で魚釣島南側斜面の植生の荒廃と崩落が進行していることが確認された。市は年4回の調査を2～3年続けたいという。次回はことし夏ごろの調査を見据える。

　魚群探知機を用いて魚影の観測と記録を行った。石垣島付近や石垣島と尖閣諸島の間の海域では観察されず、「尖閣諸島周辺海域の高い漁業生産性を示唆する結果が得られた」としている。今後、計量魚探などによる調査で資源量を推定する。

　魚釣島を対象に、植生や地表面をドローンを用いて観測した。明らかになったのは、南側斜面における植生の荒廃と崩落による岩肌の露出の進行。ヤギは未確認。食害によって植生の荒廃が進んでいる可能性があるという。

　一方、北側には強い北風の影響などで十分なサンプルデータは取得できなかった。南側よりも比較的植物に覆われており、斜面の崩壊もそれ程進んでいない。夏季にドローンで島の北側調査に再挑戦する。

　魚釣島の海岸漂着ごみは北側の海岸に多く、南側の海岸にはほとんどなかった。海洋を漂流するごみは尖閣から石垣島近傍海域までの航海で計28個確認。冬季の漂流ごみは「黒潮に乗って流されていることを示す」と結論付ける。

　市企画政策課によると、調査は得たデータを蓄積し、国への上陸調査を要請する根拠として積み上げる狙いがある。担当者は「まだ調査は2回目なので調査でデータを積み上げて、上陸可能なら標柱の立て替え、漁業者のための灯台設置などもしたい」と述べた。