世界に昆虫食を 長野・上農高が「ザザムシ」養殖に道筋

養殖するザザムシを手に、新しいシーズンに向けて意欲をにじませたGL2年生=9月30日、南箕輪村の上伊那農高
長野県南箕輪村の上伊那農業高校コミュニティデザイン科グローカルコース(GL)が取り組む水生昆虫「ザザムシ」の養殖で、4月から9月までに15匹の「トビケラ」が成虫にまで育ったことが分かった。同コースでは「産卵からふ化させることに成功した」と考察。養殖への道筋が見えたとして9月30日には、今春のGL卒業生から取り組みを受け継いだGL2年生が新しいシーズンに向けて、飼育水槽を清掃するなど準備を進めた。
養殖は、ザザムシを使った商品開発の原料確保や個体数の維持などにつなげようと昨年度に着手。天竜川漁協(伊那市)の協力を得てザザムシを捕獲し、適した生息環境を試行錯誤しながら再現し、人工繁殖させる実験を行っている。
トビケラは昨年7月末に産卵を確認。成虫になっても飛んでいかないように網がついた水槽で卵を飼育したところ、今年4月から羽化した成虫の死がいが発見されるようになった。6月には9匹と集中し、9月20日までに15匹に達した。
天竜川のトビケラは、夏と越冬する年二つの世代サイクルで発生し、ふ化して成虫になって一生を終えるまで世代によって違い5~8カ月程度とされる。
水生昆虫に詳しい天竜川総合学習館「かわらんべ」(飯田市)職員の久保田憲昭さん(55)は「飼育する環境でそれも変わってくる」と話し、「研究で飼育することはあるが、ある程度の数を育てる養殖は今までにない取り組み。餌や温度などの基礎データを得られれば、天竜川の個体群研究などに発展できる」と生徒たちに期待する。
GL2年生は、新たなシーズンの養殖と昨年度に商品化したザザムシのふりかけを再び販売するために、11月に水生昆虫を捕獲する。
毎日欠かさずに観察を続ける生徒の金塚蓮さんは「水の流れの速さや成虫を育てるための餌探しなど課題は多い」と話し、飯塚咲絵さんは「養殖が成功すると、種を絶やさないことにもつながる。昆虫食を世界に広めるきっかけにしていきたい」と力を込めた。
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