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小津安二郎監督のドキュメンタリー映画制作 米監督が長野県茅野市で取材

栁澤さんら関係者を取材するレイム監督(右から2人目)=無藝荘

 小津安二郎監督(1903~63年)の長編ドキュメンタリー映画を制作するため、米国人映画監督のダニエル・レイムさん(47)が9日、小津監督が晩年の仕事場とした長野県茅野市を訪れ、めいの小津亜紀子さん(73)ら関係者のインタビューを行った。映画は小津監督生誕120年の2023年に公開されるという。

 レイム監督は、ハリウッド映画の名場面 を数多く生み出した絵コンテ作家とその妻を描いた「ハロルドとリリアン」(2015年)の脚本・監督を手掛けた。9日は撮影監督や録音技師、プロデューサー、アカデミー図書館ディレクターのマット・セバーソンさんと来茅。JR茅野駅前ベルビア2階にある小津安二郎・野田高梧展示コーナーや、小津監督が過ごした同市北山蓼科の無藝荘を訪れた。

 亜紀子さんの寄贈品を中心に小津監督の資料が公開されているベルビアの展示コーナーでは、小津監督が生前使用した家具の前で亜紀子さんのインタビューシーンを撮影した。無藝荘では、小津監督と交流のあった数少ない地域住民で、無藝荘初代火代番(案内人)を務めた栁澤徳一さん(89)=同市湯川=と出会い、急きょインタビューを始めた。小津監督が愛した火代(いろり端)で栁澤さんが語る 小津監督とのエピソードや当時の状況を記録した。

 無藝荘で、レイム監督は「長い間ここに来 ることを夢見ていた。すごく美しい場所だ。茅野という場所に関わる人々を通して小津を見たい。どうしてこの地が素晴らしい芸術を生む人たちや芸術そのものにインスピレーションを与える場所なのかを感じたい」と話した。日本滞在は10日間で蓼科以前の仕事場だった北鎌倉、東京でも撮影を行う。海外では小津を敬愛する映画監督を取材するという。

 現在の火代番代表を務める藤森光吉さん(76)は「小津をテーマにした映画作りの動きはフランスにもある。すごいことだ。小津作品は世界で愛されている。茅野市でも良い企画を出していかなければ」と話していた。

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