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厚真などで研究者ら合同調査 胆振東部地震の大規模地滑り現場

地震の地滑りで山の尾根が約500メートルも動き、地滑りや岩盤崩落が発生した厚真町幌内地区の現場を調べる研究者ら=18日午後

 厚真町で最大震度7を観測した胆振東部地震を受け、日本応用地質学会と日本地すべり学会北海道支部は18、19両日、山崩れが多発した同町を中心に合同で現地調査を行った。大規模な地滑りの状況やメカニズムを探り、防災に役立てるのが狙い。現場に同行し、地震の衝撃で山の尾根が滑り落ち、大量の土砂が川をせき止めるなど自然環境を大きく変貌させた光景を見た。

 18日午前、道内外の研究者でつくる調査団30人は、厚真町役場から北東に直線で9キロ離れた幌内神社から山奥へ数キロ進み、大規模な山腹崩壊の現場から調査を開始。同町の学芸員らも同行した。

 甚大な土砂災害で人命が失われた同町幌内地区では、土砂が入り込んだ田んぼ、つぶれた家屋や車両なども目に入り、住民の生活を一瞬にして奪った地震の大きな爪痕を今も残していた。

 厚真川水系の日高幌内川が流れる同地区上流部では、山林の尾根が約500メートルもずれ動き、岩盤ごと崩落していた。日高幌内川の河道約1キロ区間に大量の土砂が流れ込んで、水の流れをふさぐ「土砂ダム」を形成。川の水がたまって池のような状態になり、「見に来るたび水位が上がっている」と、数週間前に現地を調べていた調査団のメンバーが言った。

 幌内川の砂防工事を担う北海道開発局によると、水位を注視し対策工事を検討中という。土砂ダム周囲にソーラーパネルで動く監視カメラや水位計も設置し、工事に向けたボーリング調査も複数箇所で行っていた。満水の危険な状況になるまで水位にまだ余裕があり、「冬期間は一般的に川の水位も下がる傾向なので、急激に下流に影響を与える可能性は低くなる」と言う。

 調査団一行は、山の崩壊で岩盤が露出したかつての尾根部分にも登って調査。樹木や軽石、泥岩などが散乱した道なき道を進み、「そこから先は崩れやすいので気を付けて」と注意されながら、ようやく頂上にたどり着いた。

 山腹の木々が地表ごと滑り落ちてなぎ倒されていたり、あちこちであらわになった地層が目に入る。調査団のメンバーが、過去の火山噴火で火山灰などが積もった地層の色の違いを指さしながら「大昔も大きな地震で地滑りが起きた痕跡が確認できる」と話した。

 この後、同じく土砂災害に遭った吉野地区を訪れ、大規模な地滑りで地表が押されて畑が隆起した箇所も視察。朝日地区では、大量の土砂が道道上幌内早来停車場線まで流れ落ち、沢のようになった傾斜地も調査。幌里地区では、5~6度の傾斜地で起きた大規模な地滑り現場も調べ、土や石なども採集した。

 19日は5班に分かれ、地滑りが相次いだ安平町の瑞穂ダム周辺や、むかわ町などの現場も調査。研究者らは今後も断続的に現地を確認しながら、地滑りの発生要因や地質への地震の影響などを探り、来春に一定の結果を公表したい考えだ。調査団団長で日本応用地質学会の伊東佳彦北海道支部長は「今回起きた斜面崩壊にもさまざまなタイプがあり、しっかりと分析し、今後の防災にも生かしていきたい」と力を込めた。

 国土交通省によると、厚真、安平、むかわ町を中心とした山林の崩壊面積は、衛星写真による推測で合計13・4平方キロメートル(速報値)に及ぶ可能性があるという。

厚真町幌内地区の日高幌内川に大量の土砂が流れ込み、せき止められてできた「土砂ダム」=18日午前

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