被爆ピアノの旋律響く 鶴岡二中でコンサート 戦争と平和考える
鶴岡市の鶴岡第二中学校(土井浩貴校長、生徒403人)で4日、広島で原爆の被害を受けた「被爆ピアノ」による平和コンサートが開かれた。ピアノから流れる旋律に耳を傾けながら、生徒たちが戦争と平和について考えた。
同校は2001年から平和と命の大切に関する学習に取り組んでいる。また、県内の中学校では唯一修学旅行先に広島県を選んでおり、現地で2年生が被爆者の養護施設訪問や平和記念公園での合唱などを体験し、戦争と平和について理解を深めている。
こうした取り組みを踏まえ、近年は毎年のように被爆ピアノとともに全国を巡っている調律師の矢川光則さんを通じ、同校でコンサートを開催している。今回は鶴岡市でピアノ教室を開いている小野寺智子さん(43)がピアノ、酒田南高の非常勤講師の草刈円さん(43)がクラリネットをそれぞれ担当した。
初めに矢川さんが「このピアノは原爆の爆心地から2・6キロの民家で被爆したカズコさんのもの。15年ほど前に『戦争の悲しさを伝えるため役立てて』と自分に託してくれた。原爆資料の一つであり、ピアノ線を数本取り替えた程度でほぼ当時のまま」と講話した。
コンサートは小野寺さんのピアノソロ「星に願いを」(ハーライン)で幕開けし、独奏や合奏でバッハ「カンタータBWV156」やジャンジャン「キズガンドリー」など計8曲を披露した。2年生の阿部千華さん(14)は「被爆したピアノの音を聞きながら戦争の悲惨さを考えた。いま現実に起きているロシアのウクライナ侵攻も早く終わればいいと思う」と話していた。
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被爆ピアノ平和コンサートは、広島県出身の矢川さんが2001年に同県内で始めた。05年から全国を巡る活動を開始し、本県では2013年から小中高校などで毎年コンサートが行われている。今年は17日間かけて県内一円を回り、計30カ所で開催する。
小野寺さん(手前中央)が弾く被爆ピアノと草刈さんのクラリネットの合奏に、鶴二中の生徒が耳を傾けた
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