イタオマチプ製作技術伝承を 阿寒アイヌ工芸組合、カツラの大木伐採【厚岸】
【厚岸】アイヌ民族の優れた工芸技術を次世代に伝承する取り組みが12月から、釧路市阿寒湖温泉で行われる。国の交付金を活用した市の事業で、阿寒湖アイヌコタンの若手工芸家が指導を受けながら、今年度は「イタオマチプ(板綴(つづ)り舟)」などの作製を通して、先人の技術を学ぶ。22日には町東梅の道有林で、材料となるカツラの大木の伐採作業が実施された。
今回の「アイヌ工芸技術後継者育成事業」は、国のアイヌ政策推進交付金を活用。阿寒アイヌ工芸協同組合に業務委託して行うもので、阿寒湖アイヌ工芸の特色である大型木彫作品の製作技術を次世代に継承するため、2020年から実施している。今年度の事業予算額は約2760万円。
これまで、カムイニ(神の木)や丸木舟(チプ)を製作。今年度はカムイニに加え、主に漁や交易に用いられていたイタオマチプと楽器のムックリ作製に取り組む。
材料となるカツラの大木は高さ24㍍、直径約1㍍。市が関係先に声を掛け、適しているカツラを発見、同組合が購入した。
この日は、アイヌ民族の伝統儀式「カムイノミ」が現地で執り行われ、厚岸の山と森に感謝しながら、自然環境が変わらないことや作業の安全を祈った。その後、市内の近藤林業が伐採作業に取り掛かった。 伐採されたカツラは、乾かして樹皮を剥いだ後、阿寒湖温泉に運搬される。イタオマチプは今年度内に完成する見込みで、4~5月には阿寒湖で進水式を行う予定。
同組合の西田正男代表理事(77)は、若手への技術伝承は重要とした上で「阿寒湖で本格的なイタオマチプは作ったことがない。阿寒湖に浮かべることが夢だったので楽しみしている」と話していた。
厚岸町東梅の道有林で行われたカツラの伐採作業
伐採前に行われた伝統儀式のカムイノミ
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