鶴岡市のイタリアンレストラン、アル・ケッチァーノオーナーシェフの奥田政行さん(54)が第14回農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」の最高賞である「ゴールド賞」を受賞し、13日に東京都内で授与式が行われた。ゴールド保持者は東北でただ一人、イタリアンのジャンルでは全国で唯一。

料理マスターズ「ゴールド賞」のメダルを胸にする奥田さん
この制度は、日本の食や食文化の素晴らしさや奥深さ、その魅力に誇りとこだわりを持ち続ける料理人を顕彰するもの。生産者や食品企業などと協働して地産地消や食文化の普及の取り組みに尽力した料理人を国が顕彰することで、さらなる取り組みの推進や料理人相互の研さんが図られ、日本の農林水産業と食品産業の発展につながるとしている。
奥田さんは鶴商学園高校(現・鶴岡東高校)を卒業後上京し、都内で腕を磨き、1994年に帰郷。ホテルレストランや農家レストランの料理長を務め、2000年に鶴岡市下山添にアル・ケッチァーノを開業。在来野菜など地元産のおいしい食材を使い、素材を生かした料理で人気店に。22年には同市遠賀原に新築移転した。東京時代から、庄内は食の宝庫で米や野菜、魚介類、畜産物などの種類が豊富でおいしいことに着目。在来作物については山形大農学部などと協力し、学術的価値を高めた。また。02年に山形県で起きた無登録農薬問題では、県産作物の信頼回復に奔走した。
04年には県が庄内の食材を全国に広める「食の都庄内」親善大使に任命されたほか、これまでに鶴岡市の農業発展奨励賞、市政功労賞などを受賞。20年には文化庁長官賞を受賞。農水省の料理マスターズには10年にブロンズ、15年にシルバーを受賞している。
授与式は13日に帝国ホテルで行われ、大阪府吹田市の日本料理店「柏屋 大阪 千里山」の松尾英明さんと共に「ゴールド賞」を受けた。シルバー賞は3人、ブロンズ賞は8人で、山形市のフランス料理店「レストラン パ・マル」の村山優輔さんもブロンズ賞受賞。
奥田さんは「プレゼンテーターが、農水省副大臣の鈴木憲和衆院議員(山形2区)だった。当時、無登録農薬問題で何度も語り合ったことが思い出され、感慨深かった。庄内に戻ってきた時から、周囲の人に、庄内は食で注目されると何度も言ってきた。今回の受賞は、庄内の恵みのおかげ。庄内の素晴らしい食材が自分の創作意欲に火を付けた。これからも庄内を良くするために努力していきたい」と喜びを語った。
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