熱演で観客の心をつかんだ能代市民ミュージカル能代物語第６話「能代白神ねぎ物語～めざせ！20億～」（能代市文化会館大ホールで）

　能代市の能代市民ミュージカル実行委員会（今立善子実行委員長）の能代物語第６話「能代白神ねぎ物語～めざせ！20億～」が３日、市文化会館大ホールで上演された。同市常盤地区を舞台に、特産「白神ねぎ」のブランド化、生産拡大に力を注ぐ農家らの姿をキャスト約40人が生き生きと熱演。会場に詰め掛けた市内外の約８５０人の観客の感動を誘った。

　本作では、常盤地区の住民たちがコメの減反政策を受けて転作作物としてネギの生産に挑戦、ブランド化して売り出そうと試行錯誤を重ねていく道のりにスポットを当てた。
　ＪＡでの仕事や同市轟での園芸メガ団地の造成を通して、ネギ栽培の可能性に夢を膨らませ、両親の反対を押し切り、祖父の助けを借りながらスタートさせた主人公、長雨や病気に苦労しながらも励まし合い、明るい未来を信じて作業に打ち込む農家の姿を能代弁やコミカルな演技を交えながら生き生きと演じた。
　幕間には、今立実行委員長演じる「善ババ」が登場。当時の時代背景やネギにまつわる逸話などをユーモアたっぷりに紹介し、観客らの笑いを誘っていた。
　また、随所にオリジナルの歌やダンスがちりばめられ、主人公や農家の喜び、苦悩などを表したほか、白神ねぎの魅力もアピール。フィナーレでは同ミュージカルのテーマ曲「この街」を歌い上げ、盛況のうちに幕を下ろした。
　主人公を演じた鈴木彩華さん（24）＝三種町鵜川＝は「主演を務められるか不安もあったが、無事にやり切ることができた達成感でいっぱい。出演者の皆さんの温かさに支えられた」と笑顔を見せた。
　今立実行委員長（79）は「コロナ禍への懸念、猛暑による体力消耗で大変な日々だったが、新人の頑張る姿がみんなを励ましてくれた。閉塞感漂う中、観客の皆さんがたまったものを発散する機会になったならば幸い」と話していた。
　市民ミュージカルは平成28年に、ＮＰＯ法人市芸術文化協会の能代ミュージカル制作委員会から独立したメンバーで結成。同年の「五能線物語」を皮切りに、地域の歴史や産業、文化を庶民の視点から描いた作品を上演してきた。いずれの作品も脚本や音楽、振り付けなど全てを市民が作り上げる市民参加型のミュージカルとして知られ、県内外の多くのファンに親しまれている。