柿の木に登り、約６時間居座ったクマ（10日午前６時50分ごろ、能代市二ツ井町荷上場で、住民提供）

　10日午前６時ごろ、能代市二ツ井町荷上場字鍋良子出口の男性（67）宅の敷地内にある柿の木でクマ１頭（体長約50㌢）が目撃され、クマは木に登ったまま６時間近く居座った。能代署員や市、県職員、猟友会員が警戒に当たり、同11時50分ごろにネットを使って捕獲した。現場周辺では８日から３日連続でクマが目撃されており、住民からは安堵と不安の声が入り交じった。

　能代署や男性によると、同日午前６時ごろ、自宅裏手にある柿の木（高さ約４・５㍍）に登っているクマを家族が見つけ、男性が能代署二ツ井交番に通報した。
　署員や市、県職員、猟友会員20人以上が木の周りをネットで囲み警戒に当たった。現場が住宅街で、２次被害を防止するため、爆竹などを使った山林への追い払いはせず、ネットを使って捕獲を試みた。同11時50分ごろに捕まえた後、クマに麻酔を打って眠らせ、人家から遠く離れた奥山に逃がした。
　現場は、９日にクマ（体長約50㌢）が居座った能代高二ツ井キャンパスグラウンドから北西に約50㍍離れた住宅街。８日午後２時ごろにも男性宅に近い柿の木に登っていたクマ（体長約80㌢）が目撃されていた。
　男性は「この近辺でクマが出て来るのは初めてのこと。８日、９日と出没していたので、捕獲できていなければ、また来ると思っていた」と話す。クマが居座った柿の木は、10月下旬にクマ対策で実を収穫し枝打ちをしていたが、収穫し切れなかった実が残っていた。「クマを見つけた時は、近くに親グマがいるのではと心配したが、その気配は感じず、ひとまず安心した。８日、９日に近くで出たクマと同じ個体なのだろうか」と語った。
　対応に当たった県自然保護課の職員によると、捕獲したクマは体長などの特徴から今年１～２月に生まれた個体と推測されるという。「本来であれば母グマが近くにいてもおかしくないが、何らかの理由で子グマが単独で食べ物を探しに人里へ下りて来ていると思われる。成体と違って警戒心はそこまで高くなく、他の個体がやって来ない民家敷地にある柿を狙って来たのでは」と話していた。
　この３日間で現場周辺で４件の目撃が相次いでいる。また、10日午前８時ごろには五千苅の能代署二ツ井交番近くの交差点を南方向へ歩くクマ（体長約50㌢）が目撃され、この日捕獲されたクマと別の個体が１００㍍ほど離れた場所にいたことになる。同課は「同じ理由で人里に下りて来る個体は他にもいる可能性が高い。引き続き、クマへの注意を怠らないでほしい」と呼び掛けている。