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支笏湖畔の旧丸美食堂解体へ 名残惜しむ常連客

支笏湖畔の千歳市モラップ地区で、長年キャンパーなどに親しまれてきた「旧丸美食堂」の建物が今月末で解体される。環境省の再整備事業に伴い土地の返還を求められたため。同食堂から4年前に営業を引き継いだ「カフェランチストア Hoo―Hoo!(ホーホー)」は3日に営業を終えたが、常連客らが次々と訪れ、記念撮影するなど名残を惜しんだ。

解体される店舗の前で記念写真に収まる池野さん(右)=3日

 同食堂は木造2階建てで、三角屋根が特徴。店内には木製のテーブルと椅子が並び、昔ながらの食堂の雰囲気が漂う。ホーホーオーナーの池野尋隆さん(57)=苫小牧市在住=は「建てられたのは戦後間もなくとか、1950年代という人もいて定かではないが、少なくとも築60年にはなる」と話す。国立公園内にあるため大規模改修には制約があり、部分的な修繕にとどめてきたことがかえって建物に味わいを生んだ。

 環境省の再整備事業の対象エリアに入り、近隣の店舗と共に更地にして返還した上で来春、西に約100メートル離れた林間の一角に再オープンする計画。8月にSNSで解体を知らせたところ、「寂しい」「壊さないで」と悲しむコメントが続々と寄せられ、店まで訪れる常連客が相次いだ。営業最終日は開店と同時に行列ができ、名物の「あげいも」を味わう人であふれた。

 取り壊しを知ってから毎週来ていたという苫小牧市宮の森町の会社経営者土橋浩司さん(45)は「小学生の頃からキャンプや釣りでモラップに来ていた。建物はあって当たり前と思っていたので喪失感が大きい」と残念がった。

 池野さんは30代の頃から支笏湖でのチップ(ヒメマス)釣りが趣味。毎年通ううち、丸美食堂オーナーの女性から高齢で引退を考えていると相談を受けたのが、人生の転機になった。「好きなモラップのため、この店を残したい」と公務員を早期退職し、2019年5月にホーホーを開業した。

 池野さんは「この店の雰囲気が好きで大事にしてきたので、正直、取り壊すのはつらい」と複雑な心境を明かすが、早ければ10月中旬から移転先の工事が始まる。内装などは仲間に声を掛け、自身も大工仕事に挑戦する考えだ。解体を惜しんでくれた人たちのためにも「新たな店で支笏湖の魅力を伝え続けたい」と意欲を見せる。

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