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紀伊民報社

「体一つで逃げて」 非常用袋を保管

各戸の非常用持ち出し袋を入れておく収納箱(和歌山県白浜町中で)

 大地震で津波の襲来が想定されている和歌山県白浜町の中区は、地区内にある災害時の避難施設2カ所に、各戸の非常用持ち出し袋を保管する取り組みを始めた。「いざという時は体一つで逃げる」という態勢を事前に整えておく狙いがある。

 施設は、津波避難ビルと津波避難タワー(いずれも高さ8メートル)。屋上や建物内に収納箱(高さ45センチ、幅1・8メートル、奥行き75センチ)が8個ずつあり、希望する世帯に袋を入れておいてもらう。袋に入れる目安は「3日分の保存食、水、その他の必需品」を挙げている。
 保管を考える世帯が袋を持ち寄り、実際にどのくらい収納できるかを確認する作業が10、11日にあった。今後は、保管場所が近い3世帯ほどで1組とする相互支援のためのグループを編成する予定。
 袋を施設で保管するのは、住民が定期的に施設を訪れる機会をつくりたいとの思いもあるためだ。保存食などの賞味期限の確認と併せ、全11地区ごとに3カ月に1回は避難訓練をしてもらいたいという。
 区長の金地孝雄さん(78)は「災害に対する意識を高めてもらうことと、命を守るために余計なことを考えずにまず逃げてもらうために、とにかくやってみようと考えた」と話す。
 中区は以前から防災活動に力を入れている。約1万食の保存食を高台の倉庫に備蓄したり、夜間の避難訓練をしたりしている。昨年9月には、全住民の約470人を対象に「自宅にいる時に大地震が起きたらどこへ逃げるか」と尋ねる調査もしている。

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