地域が抱える諸課題にスポットを当てた作品「まち角風景」を上演した劇団能代小劇場（能代市文化会館中ホールで）

　能代市の劇団能代小劇場（伊藤洋文代表）の第15回自主公演「まち角風景」は10、11の両日、市文化会館中ホールで上演された。少子高齢化が進む能代を舞台に、認知症高齢者がいる家庭の現状や苦労しながら対応していく人々の姿を描く。２日間で延べ約５００人が詰め掛け、団員らの生き生きとした演技を楽しんだ。
　同劇団は平成３年に「能代市民劇場」と「11人の会」に所属していた有志らで結成し、現在18人が所属。新型コロナウイルス感染拡大の影響で自主公演は３年ぶりで、前回上演した「まち角」をバージョンアップさせた作品を披露した。
　作品は、少子高齢化や人口減少が進む能代の街が舞台。認知症が進む90歳の「加藤節子」と「加藤家」を中心に、介護や遺産相続、墓じまい、一人暮らし高齢者など地域社会を取り巻く諸課題と実情、家庭の姿を実際にあったエピソードを交えながら描いている。
　団員らは能代弁のせりふと生き生きとした演技を繰り広げ、観客らの視線をくぎ付けに。終盤では今立善子さん演じる「節子」が買い物袋を手に、客席の間を〝徘徊（はいかい）〟、観客らに話し掛ける場面もあり、観客らは作品の世界への没入感に浸るとともに、地域社会のさまざまな問題に共感を寄せていた。