自主管理から法的規制へ 八重山海域産卵場6カ所 八漁協取り組み評価
保護区全体位置図
【那覇】八重山漁業協同組合(上原亀一代表理事組合長)と県農林水産部(崎原盛光部長)は9日、ヨナラ水道など八重山沿岸海域6カ所を法的規制を伴う産卵場保護区に設定すると発表した。ナミハタやイソフエフキなどの産卵盛期にあたる今月12日から6月9日までの間、一般人の釣りも含めた全ての水産動植物の採捕を禁止する。航行や停泊にも自粛を求める。
八重山海域では県の沿岸性魚類の20~25%の漁獲を占める。しかし、乱獲などで1989年から資源が減少傾向にあり、特に産卵時に群れをつくるナミハタやイソフエフキなど影響を受けやすい魚種の適切な資源管理が求められてきた。
八漁協と県水産海洋技術センター石垣支所、国立研究開発法人水産研究・教育機構水産技術研究所八重山庁舎は2007年以降、禁漁区設定や体長制限など自主的な資源管理を行ってきた。 10年には八漁協電灯潜り研究会がナミハタの主要産卵場となるヨナラ水道に産卵保護区を設置し、20年6月には既存保護区5カ所にヨナラ水道を編入した。
ヨナラ水道保護区での10年間の調査結果からナミハタの資源状況が増加傾向に転じたことが推定され、取り組みの有効性が科学的にも評価された。
八重山沿岸海域6カ所の法的規制を伴う保護区設定を発表した上原亀一組合長(左)と崎原盛光農林水産部長=9日、県庁
八漁協などは昨年から計6カ所の産卵保護区について漁場の秩序維持や水産資源の持続的利用など漁業調整を目的とする沖縄海区漁業調整委員会に公的措置を要望。ことし3月に決定された。
保護期間は産卵盛期に該当する毎年4~6月(旧暦の3~4月)の約2カ月間。5年後の25年度まで有効で、継続の必要性については同年度に検討する。委員会指示そのものに罰則はないが、指示に従わない場合は知事命令が出され、違反すると漁業法違反として50万円以下の罰金または1年以下の懲役が科される。
県庁での会見で上原組合長は、八漁協の自主的な資源回復の取り組みが公的措置につながったことに「20年以上前から続けてきた地道な取り組みが報われてうれしい」と喜んだ。崎原部長は「効果的な資源管理の推進には地元漁業者との連携がとても大切。取り組みが高く評価された」と今後の水産資源保護に期待を込めた。
関連記事
芽室に新たな観光コンテンツを 食や農業のモニターツアー実施
芽室町の新たな観光コンテンツの構築を目指したモニターツアーが24日、芽室町坂の上の「とかち芽室の百笑farm(ファーム)」で開かれた。町内で農業、飲食、観光業に携わる有志らを中心に企画。知り合い...
酒田港 基地港湾に指定
遊佐町沖、酒田市沖で進む洋上風力発電の事業化に向けて国土交通省は26日、酒田市の酒田港を港湾法に基づく「海洋再生可能エネルギー発電等拠点港湾(基地港湾)」に指定し、酒田港港湾管理者の吉村美栄子県知...
地元の歴史や名所歌う「今昔かるた」 埴生小・中の図書館ボランティアが制作..
「埴生祇園 1100年の古(いにしえ)より」。山陽小野田市埴生地区の歴史や文化、名所を歌った「埴生今昔かるた」が、埴生小・中(東原秀一校長、265人)の玄関奥の大階段に飾られ、児童や生徒たち...
「元気で大きくなって」 ウミガメ放流、児童ら見守る 奄美海洋展示館
鹿児島県奄美市名瀬の奄美海洋展示館は25日、飼育していた6歳のアオウミガメを放流した。2017年夏に大浜海浜公園でふ化後、陸で衰弱していたところを保護された個体。遠足で同館を訪れていた奄美小学...