八重山農林高校（山城聡校長、生徒２７０人）は10月12日から、八重山で初めて、生徒が性別に関わらず事前申請なしで制服を選択できる「制服選択制」を導入する。生徒のアイデンティティーや自己表現を尊重するとともに、肌トラブルや防寒の必要性など多用なニーズに対応するための措置。その日の体調などによって着用する制服を変えることも可能になる。

　制服選択制をめぐっては、２０１５年に文部科学省が、性同一性障害などに関する児童生徒への細やかな対応実施を求め、全国の学校へ通知。沖縄県内では浦添高校や那覇高校、西原高校などが制服選択制を導入している。

　玉那覇誠篤（せいと）君（17、３年）は「自分自身はスカートを使うことは無いと思うけど、自由化はとてもいいと思う」と導入を歓迎。「ひょっとすると、LGBTでも本当のことを言うのは怖くて、友達にも言えないという人もいるかもしれない。社会やシステムの方から変わっていくのはいいことだと思う」と変化を喜んだ。

　「スカートは動きづらいのであまり好きじゃない。冬は寒いし」と話す具志堅星南（せな）さん（18、３年）は、制度導入後はズボンの着用を検討しているという。「選択肢ができたこと自体がうれしい。着る服を押し付けられることに嫌悪感を持っている人もいると思う。そういった人が減るといいな」と話した。

　仲里結人君（17、３年）は「ファッションとして選ぶ人、動きにくいから選ぶ人、自分の性別として選ぶ人、理由はそれぞれだと思う。選べるのはいいこと」と肯定した。 　山城校長は「制服は学校の顔。選択が自由になっても、校則にのっとった身だしなみを心がけてほしい。着崩すことがないように」と生徒に呼び掛けた。