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鳥に魅せられた「写業」振り返る 千歳在住写真家・嶋田忠さん、東京で個展

熱帯雨林にすむオウゴンフウチョウモドキの写真を背に

 千歳在住の自然写真家、嶋田忠さん(70)が今月まで、東京都写真美術館で個展を催した。生まれ故郷の埼玉県でカメラを手にしてから現在までの「写業」を振り返る構成で、野鳥を中心としたスチール写真を180点展示。鳥をテーマにしたライフワークの作品が7月から2カ月にわたって公開された。現地で取材に応じ、「また、新作勝負。これから10年頑張りたい」と意気込みを語った。

 JR山手線の恵比寿駅にほど近い恵比寿ガーデンプレイス一角にある同美術館の愛称は「トップミュージアム」。古今東西の写真家による作品展が引きも切らず開催されている。床面積約500平方メートルの会場に「野生の瞬間―華麗なる鳥の世界」のタイトルで、7月23日から今月23日まで嶋田さんの写真が展示されていた。

 鳥の羽毛の「色」について語る嶋田さんが着席する200人ほどと向き合って言う。「自分が感じたときの色。頭の中にあるのがオリジナルの色なのではないかと」―。22日、広いロビーを埋めた老若男女の来場者と交流するトークに臨んでいた。

 高校生のとき、母から贈られたカメラを手に、武蔵野のモズなど野鳥を撮り続けた青春期、プロデビュー後にカワセミやアカショウビンを撮ったフィルム写真の時代をたどった。次いでテレビ朝日の報道番組ニュースステーション中のコーナー「野生の瞬間」を担当した1990年代、NHK「ワイルドライフ」などの映像を数々手掛けた2000年代以降の思い出も振り返った。

 50代半ばの頃、発展を遂げたデジタル写真のテクノロジーが嶋田さんの琴線に触れたという。かつてフィルムで撮った静止画像を再びパソコンに取り込み、明るさや色合いを調整して「刷新」を繰り返してきた。闇の奥に再び広がる鳥の気配を取り出せた。「頭の中の色。それを出せるようになった。本当にいい時代になった」と語った。

 千歳移住後に追い掛けたシマフクロウやヤマセミとの出合い、パプアニューギニアで世界初の映像も撮った近作のフウチョウへと、取材のエピソードもつまびらかにした。

 カメラを手にする前に鳥を観察し、撮影時は姿を偽装して身を隠す。時には、構図をイメージした絵コンテを描き、シャッターを押す一瞬のときを待つ。「肉体的に厳しいときほど、撮影成功の喜びは大きいですよ」と話に耳を傾ける人たちに明かした嶋田さん。

 世界各地で飛翔する生命体を追い掛けて写真を撮る際の心掛けは「より美しく、より激しく、よりすさまじく」と著述も通して言い切ってきた達人は、聴衆になおも「すべては好奇心から始まった。鳥が教えてくれた。わが師匠です」と語り掛けた。

 9月中旬までの同美術館の集計で、延べ2万6000人を超す入場者があった個展が閉幕。会場で写真家同士の対談や鑑賞者向けトークに精力的に臨んだことで、「自分の世界がまた広がった感じがする」。千歳で出会うときと同じにこやかさだった。

 九州産業大=福岡市=では現在、初旬に開幕の「嶋田忠写真展―野鳥に魅せられた男の物語」(10月20日まで)が公開中だ。

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