全国郷土紙連合

全国11新聞社加盟kyodoshi.com

北海道から沖縄県石垣島まで、南北に長い日本列島。今日もどこかでホットなニュースが生まれる。

400年ノロの歴史に幕 大熊のトネヤ解体、跡地活用摸索 奄美市名瀬

鹿児島県奄美市名瀬大熊町の解体前のサントネ。豊年相撲の前には多くの子どもたちが安全祈願に訪れていた=2017年、奄美博物館撮影

 鹿児島県の奄美市名瀬大熊町に2棟残っていた木造トネヤの1棟が5月に解体された。残る1棟も解体が見込まれている。トネヤとは中世、奄美大島が琉球王朝に属していた時代に、王府から辞令を受けて各集落で宗教行事を行っていた女神官「ノロ」が、祭りを行ってきた場所。区画整理事業を経て新興住宅が並ぶ大熊町に、400年以上前から受け継がれてきたノロの文化に幕が下ろされる。

解体されたサントネ跡地と、現存するウントネ=5月30日、鹿児島県奄美市名瀬大熊町

 大熊町のトネヤは町内奥の龍王神社近くに2棟隣接していた。祭場として使われるウントネと、ノロが住むサントネで、解体されたのはサントネ。

 先祖代々ノロの祭りの補佐役を務め、トネヤの管理をしてきたグジヌシの田中稜郎さん(87)と妻キヨコさん(87)によると、サントネは終戦直後に建てられた木造平屋。ノロの中でも、祭りの中心的役割を担う親ノロしか住むことができず、同所には大熊町最後の親ノロ、故・重田キサ子さんが住み、祭りを行ってきた。

 1995年に重田さんが病気で入院したことからサントネは空き家に。ウントネでの祭りも親ノロ抜きには行えず、継続できなくなった。世襲制で引き継がれてきたノロは後継者選びが難しく、多くの集落で途絶えてきたが、重田さんもまた、後継者を見つけることができないまま2003年に他界した。

 祭りと住人が途絶え、23年間空き家となってしまった2棟のトネヤ。高齢となった田中さん夫婦もまた、後継のグジヌシが見つけられず、トネヤの管理が難しくなっていた。

 2人は大熊町内会に相談。町内会でも議論が重ねられたが「ノロにかつて求められていた地域の安全祈願などの社会的役割が科学の発達で必要とされなくなり、消滅は仕方がない」との結論になり、「ノロは終了したということを理解してもらうため」として撤去、解体を決めた。

 サントネは、天理教の司祭を招いた地鎮祭を経て28日に解体工事を始め、30日に終了した。ウントネも将来的に撤去される予定で、跡地の活用方法については、今後慎重に検討を重ねるという。

 田中さんは「自分たちも高齢で、いつどうなるか分からない。トネヤが台風や火災で近所に迷惑を掛けないかずっと心配だった。見届けられて安心した」と安どした様子。大熊町内会の重田茂之会長は「大熊地区のとても神聖な場所。ノロの祭りを知らない若い世代や、転入者が増えている中、ノロがどういうものか、地域でどのような役割を果たしてきたのか、伝える方法を考えたい」と話している。

関連記事

宇部日報社

女性も暮らしやすい宇部に 子育て、安心、働き方など、タウンミーティングで..

 「女性の暮らしやすい宇部市をつくるプロジェクト」のタウンミーティングが13日、市役所の市民交流棟で開かれた。高校生や子育て世代の女性ら50人が参加し、座長を務める山口大副学長でダイバーシティ推進...

荘内日報社

松くい虫被害 鈴木農水大臣視察 酒田 「海岸林の役割大きい」再生へ連携意見交..

 庄内海岸林で「松くい虫」による松枯れ被害が深刻化する中、鈴木憲和農林水産大臣(衆院山形2区)が13日、現地を視察し、地元の行政・森林保全団体関係者と意見を交わした。鈴木農相は「海岸林が果たす役割は大...

コンビーフ完成 広尾の牛肉とコンブと塩使用

 広尾町の1次産業の発信に取り組む「ピロロツーリズム推進協議会」(菊地亜希会長)が取り組んできた、広尾産の牛肉・コンブ・塩を用いた製品「KOM BEEF(コンビーフ)」が完成した。今後は、試食会な...

レジェンドたちとプレー 奥大介プレゼンツ サッカー教室

 奥大介プレゼンツ「宮古島スマイルプロジェクト」のサッカー教室が13日、平良前福多目的運動場で行われた。小学校高学年の11チーム約140人が参加し、サッカー日本代表コーチの名波浩さん、日本サッカーのレ...

加盟新聞社

カテゴリー一覧

アーカイブ一覧

アクセスランキング

  • 週間アクセス
  • 月間アクセス

関連リンク