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紀伊民報社

川湯温泉に貸し切りの宿 台風被害の実家改装

被災した実家を改装して貸し切りの宿泊施設を始める芝伸一さん(田辺市本宮町川湯で)

 昨年8月の台風で甚大な浸水被害を受けた和歌山県田辺市本宮町の川湯温泉街に25日、貸し切りで素泊まりの宿泊施設がオープンする。経営者の芝伸一さん(60)が、被災した実家を改装してよみがえらせた。元消防職員という芝さんは「還暦での新挑戦。生まれ変わった気持ちで頑張りたい」と意気込んでいる。

 「川湯温泉旅の宿しば」は木造2階建て。10年ほど前まで、両親がカラオケ喫茶を営んでいた。
 芝さんは両親の介護のために昨年3月末で市消防本部を早期退職。昨年8月下旬、県内に暴風を伴う大雨をもたらした台風20号の際には実家は無人だったが、温泉街を流れる大塔川があふれ、床上1・2メートルほど浸水したという。
 被災後すぐに元同僚たちが駆け付け、水に漬かった家財道具の運び出しや流れ込んだ泥のかき出し作業などを手伝ってくれた。芝さんは「涙が出るぐらいうれしかった。一時は建物を取り壊そうかとも考えたが、思いに応えるためにも何かしなければと思った」と宿泊施設として復活させることを決意。建物の1階部分を、1日1組限定(定員8人)の簡易宿所として活用することにした。
 三つの部屋やキッチンなどがあり、カラオケ喫茶だった時のカウンターを改装後も残して「ホームバーカウンター」として活用。芝さんが集めたり、友人が寄贈してくれたりした1970年代のフォークソングや洋楽などのLPレコードを自由に聴くことができる。浴室では温泉が利用でき、屋根付きの庭ではバーベキューも楽しめる。
 芝さんは「以前から建物を活用してもらいたいと、地元の方にも言われていたので、川湯温泉街のにぎわいづくりに貢献できるよう頑張りたい」と話している。

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