スパイバーが開発 カシミヤしのぐ新素材の原毛
鶴岡市のバイオベンチャー企業のSpiber(スパイバー、関山和秀代表執行役)が、高級毛織物のカシミヤをしのぐ風合いを持つ新素材の原毛を開発した。29日に製造工程とともに報道機関に公開した。保温などの機能性を含めカシミヤ以上の品質と低価格を実現する新素材で、既に国内外のアパレル企業から引き合いがあり、同社は2021年から量産化を目指す。
スパイバーは、クモの糸などの遺伝子情報を基に合成した構造タンパク質の素材開発を手掛ける。公開した新素材は、欧米の著名ブランドをはじめとするアパレル業界で、動物素材を使わない「アニマルフリー」や脱プラスチックなど環境負荷の少ない素材への関心の高まりを受け、3年前から開発を進めてきた。
素材の原料となるタンパク質は、独自に設計した遺伝子情報を微生物に組み込み、サトウキビやトウモロコシ、キャッサバなどを由来とする糖分が入った発酵槽で培養して作る。タンパク質を粉末状にしたものを特別な液体に溶かし、独自の技術で多様な繊維、樹脂などにする。
同社で開いた新素材の説明会で、関山代表執行役は「動物や石油に頼らない高品質で安価な素材へのニーズがあり、この原毛は新たな選択肢になる。従来のアパレル分野だけでなく、幅広い産業への活用が見込まれる」と語った。

カシミヤをしのぐ新素材の原毛を手にする関山代表執行役
タイに建設する大規模プラントで、21年から原料となるタンパク質の量産化に入り、素材の価格は「カシミヤの半分か、数分の1」(関山代表執行役)を目指す。少量であれば、タイでの量産化を前に市場投入も視野に入れ、本社製造施設の増設も計画する。原毛の新素材については、評判を聞き付けた国内外の2桁のアパレルメーカーから引き合いがあるという。

鶴岡本社にある新素材などのタンパク質発酵培養設備
関連記事
防砂ネットを撤去 橋杭海水浴場
南紀串本観光協会は27日、和歌山県串本町くじの川の橋杭海水浴場に設置していた防砂ネットを撤去した。海水浴場では4月からビーチハウスの営業が始まり、イベントの開催も計画している。 ネットは、冬...
鶴岡市・酒田市・庄内町 水道事業を統合 広域水道企業団設立目指す
鶴岡、酒田、庄内の3市町の水道事業を統合し広域水道企業団の設立を目指す「庄内広域水道事業統合準備協議会」の設立総会が28日、酒田市役所で開かれた。3市町の水道事業を水平統合した企業団による事業を2026...
苫小牧の本田青果店 笑顔で別れ 「朝市」から始まり半世紀超 31日に幕
苫小牧市港町の「海の駅ぷらっとみなと市場」で、前身の公設食品卸売センター時代を含めて長年営業してきた「本田青果店」が31日、閉店する。店主の本田勅子さん(81)は、昭和の中ごろまで苫小牧駅前にあっ...
ばんえい十勝 名馬五頭 引退セレモニー
ばんえい十勝は19、20の両日、帯広競馬場で今年度限りで引退する5頭の引退セレモニーを開いた。5頭は余生を繁殖馬、種牡馬として過ごす。 引退するのは、ブチオ(牡10、今井茂雅調教師)、ア...