「遺訓」広めた経緯など解説 「西郷隆盛と庄内展」
幕末の英雄・西郷隆盛(南洲、1827―77年)と庄内の関係にスポットを当てた「徳の交わり~西郷隆盛と庄内展」が酒田市役所1階西側のふれあいスペースで開かれ、地元出身のグラフィックデザイナーが制作したパネル10枚で、旧庄内藩士が西郷の言葉を「南洲翁遺訓」にまとめ全国に広めた経緯などを詳しく解説している。
展示は酒田市が主催した。NHKが西郷を主人公にした大河ドラマ「西郷どん」を放映していることや、同市飯森山二丁目に西郷を祭る南洲神社があり、同神社を管理している公益財団法人荘内南洲会が「遺訓」普及版増刷への寄付を募っていることなどから、市民への理解を広める狙い。
パネルを制作したのは、鶴岡市出身の廣嶋育子さん(43)=山形市在住。数年前に仕事の壁に突き当たり思い悩んでいた時、「南洲翁遺訓」の「敬天愛人」(天を敬い、人を愛する)などの思想に接し、救われたという。以来、西郷の思想や庄内との関係などを学ぶとともに、より多くの人に西郷のことを知ってほしいと、本業の技術を生かし、荘内南洲会発行のパンフレット制作などを手掛けてきた。 パネルは、これまで学んできたことをA2判の24枚にまとめたもの。今年3月に、西郷が船に乗ったなどゆかりの中山町、11月には戊辰戦争の激戦地・関川近くの鶴岡市越沢地区でそれぞれ展示した。今回はそのうち10枚を展示した。
パネルは、庄内藩校致道館では徂徠学を教え各人の個性を伸ばす教育をしていたことや、戊辰戦争で庄内藩が戦った経緯、西郷が寛大な戦後処置を指示したこと、それを知った藩主・酒井忠篤らが鹿児島に行き西郷に学んだこと、西南戦争後に中老・菅実秀が中心になって西郷の言葉を「遺訓」にまとめ全国に配ったことなどを、図や写真を多用し、分かりやすく解説した。いずれも廣嶋さんが地元の関係者に丹念に取材し、調べた成果という。
廣嶋さんは「先人は、自分たちを救ってくれた西郷さんに深い敬愛の念を抱いた。先人の思いが現代につながり、私たち一人一人の中に今も生きていることを感じてもらえたら」と話している。展示は14日まで。

酒田市役所1階で行われているパネル展
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