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長野日報社

「高遠石工」英語版ガイド作製 伊那市

外国人観光客向けに作った「高遠石工」の英語版ガイド

 伊那市は、江戸時代に活躍し、同市高遠町をはじめ、全国に石仏などの作品を残した高遠藩ゆかりの職人集団「高遠石工」を紹介する英語版冊子「高遠石工の石仏巡礼ガイド」を作製した。日本を訪れる外国人観光客の誘致を図る狙いで、市内に残る石仏に焦点を当て、その魅力を伝えている。高遠石工を新たな観光資源として発信し、観光振興につなげたい考えだ。

 冊子はA4判・22ページ。市と一般社団法人高遠石工研究センターが昨年、文化庁の補助を受けて作った冊子「ようこそ高遠石工のふるさとへ」のデータを活用。写真や内容はほぼ同じで、日本語の文章を英訳する形で作った。

 高遠石工は優れた技術から全国に出向き石仏や石塔、石橋、鳥居、石垣など多くの石造物を作った。中でも名工と言われる守屋貞治の石仏は評価が高く、冊子では高遠町にある建福寺の「西国三十三所観世音菩薩」や桂泉院の「准胝観世音菩薩」、勝間の「大聖不動明王」など貞治の作品を中心に取り上げた。

 写真は同センター事務局長で映像作家・カメラマンの熊谷友幸さん(63)が撮影。石仏の魅力を引き出すため、日の当たり方などを見ながら時間をかけて写真を撮り、「貞治仏」と称される石仏の豊かな表情をとらえた。熊谷さんは「まずは地元の人たちに関心を持ってほしいが、逆輸入のように高遠石工の魅力が広がれば」と期待する。

 市は高遠石工の優れた作品や芸術性を見直し、桜やそばと並ぶ新たな観光の目玉にしていきたい考え。海外ではこうした日本の文化に関心が高まっていることから、世界に発信し、伊那市に足を運んでもらう。高遠石工の英語版サイトも併せて設けた。今後、高遠石工を案内するガイドの養成なども検討する。

 英語版の冊子は2000部作製し、市内の観光施設などで無料配布している。

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