ボタン一つで簡単に、遠隔健康相談 小野と山口大医学部つなぎ実証実験【宇部】
山口大(谷澤幸生学長)とウェブアプリケーションの開発・運用を手掛けるクオリアシステムズ(池田直人社長、本社東京都杉並区)が、小野ふれあいセンターでタブレットを用いた遠隔健康相談の実証実験を行っている。誰もが使いやすいようタブレットの操作を簡素化し、過疎地域に暮らす高齢者らの医療の確保につなげる。
同大医学部付属病院脳神経外科の貞廣浩和助教が発起人。コロナ禍で医療分野でもオンライン活用が進んだものの、うまく扱えない高齢者が多かったことや、過疎地域などで専門医による高度医療を受ける際の移動に大きな負担が生じていることを課題と捉え、2022年に研究開発に着手した。
同社と連携し、診察する医師がテレビ電話の開始・終了といった主な操作を行うことで、患者は待機画面を表示するためにボタンを1回押すだけで利用できる通信端末「ゼロタッチタブレット」を開発。テレビ電話には遠方の家族などが同時に参加することもできる。
小野ふれあいセンターでの遠隔健康相談の実証実験は、今月16日から毎週火曜に実施している。対象は同地区の住民で、同病院の医師が対応。同地区にはもともと診療所や歯科医院があったが、現在は閉院しているという。
利用した60歳代の女性は、貞廣助教に健康に関する悩みを相談。互いに身ぶり手ぶりを交えながら、和やかな雰囲気で進んだ。女性は「年配の人でも使いやすいと思う。緊張するかと思ったが、先生の表情が見えるので安心感があった」と語った。
貞廣助教は「医療の不平等を無くしたい。ふれあいセンターや在宅で診察が受けられるような体制を目指し、実証実験を通して、端末をもっと便利に使いやすくしていければ」と話した。
開発には、県のやまぐち産業イノベーション促進補助金を活用。小野ふれあいセンターでの実証実験は今後も継続し、端末の使い勝手やニーズを探る。来月からは美祢市立病院で、脳疾患相談も開始する予定。
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