貴重な写真などが並ぶ「北前船と米代川舟運展」（能代市柳町の旧料亭金勇で）

　能代市柳町の旧料亭金勇で19日、「北前船と米代川舟運展」が始まった。北前船を対象に商売を行った能代の廻船問屋の「引き札」（広告）や北前船奉納絵馬の複製、北前船といかだの模型、いかだ流しの写真、関連の文化財や近世に確立された米代川舟運に関するパネルなどを展示し、北前船と舟運の両文化が港町能代の形成・発展に大きな役割を果たしたことを伝えている。来月25日まで。
　同施設では、能代市が文化庁の日本遺産「北前船寄港地・船主集落」に追加認定された平成30年と令和２、３年に北前船関連文化財の展示会を、藩政時代に確立された米代川の舟運にスポットを当てた展示会を３年にそれぞれ開催。両文化ともに能代発展の歴史とは切り離せず、多くの人に理解を深めてもらう機会にと、昨年からは合体展の形で開いている。
　今年も会場の１階曙（あけぼの）の間には、北前船関連資料として、県外の寄港地に実在する能代港町の廻船問屋が宣伝・広告のために作製し配った紙片「引き札」や向能代稲荷神社などに奉納された船絵馬の複製、同施設が保管する北前船の20分の１サイズ模型、北前船の灯台代わりに使われた「べらぼう凧（だこ）」、日本遺産として認定を受けた文化財と北前船にゆかりのある文化財の写真パネルなどを展示。動く総合商社でもあった北前船の性格や歴史を学べる動画「栄光の北前船」（北前船交流拡大機構など制作、13分）も視聴できる。
　また米代川舟運関連では、同市の井坂記念館から借り受けたいかだの模型、道路網の整備とトラック輸送により米代川では同39年が最後となったいかだ流しの写真（国土交通省能代河川国道事務所提供）、舟運の歴史をまとめたパネルなどが並ぶ。同施設は「貴重な資料の数々を通して、港町能代をつくり上げた歴史と文化を感じてもらえれば」としている。
　開場時間は午前９時30分～午後４時30分。無料。