長く愛される店に 元教員が古民家改修しパン店を開業
曽祖母の自宅を改修し、開店したパン店「LINK」
和歌山県串本町二色で、元教員の坂井由加さん(34)が古民家の一室を改修してパン店「LINK(リンク)」をオープンした。素材にこだわり、小ぶりで中身がぎゅっと詰まったパンが特徴。開業からもうすぐ半年。気付かずに通り過ぎてしまいそうなほど飾り気のない外観の店舗だが、インスタグラムや近所の人らの口コミで静かな人気を集めている。
坂井さんは県内や三重県の小中高校で教員をしていたが、夫の転勤を機に2年前に地元串本町へUターン。動画や専門書を参考にしながら趣味でパン作りを始めたところ、周囲に好評で、パン店を開きたいという思いが膨らんだ。
店を一緒に切り盛りする母の芝本明美さん(61)は「1年くらい前に『店をしたい』と言われた時は、まさか本当にやるとは思っていなかった」と振り返る。店舗は坂井さんの曽祖母の自宅だった。DIYが得意な弟に頼んで半年かけて改修してもらった。
20種類ほどのパンを前にする坂井由加さん(左)と芝本明美さん=和歌山県串本町二色で
今年5月にオープンしてからは、学生時代の友人や前職の同僚が足を運んでくれたり、近所の人らが「お裾分け用に」と多めに購入してくれたり。「人とのつながりを感じる。大切にしたい」と2人は口をそろえる。
小麦粉やバター、小豆は北海道産、そのほかの食材も国内産を使用。約20種のパンを並べている。丸パンは70円、メロンパン150円、焼きカレーパン250円など価格を抑えている。
「赤字にならないギリギリの価格にした。添加物を気にせずにおいしいものを食べてもらいたい。愛されて長く続くパン店になりたい」と開業後も試行錯誤を続けている。
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