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月照の墨画に西郷が漢詩

 酒田市出身の漢学者・須田古竜(1866―1945年)の箱書きの解説文が付いた、江戸幕末期の尊王攘夷派の僧侶・月照の墨画に西郷隆盛が月照をしのぶ漢詩を添えた作品とみられる掛け軸が、北海道帯広市の妙法寺(澤田寛徳住職)で見つかった。貴重な掛け軸の発見に同寺は「多くの人に見てもらいたい。須田の古里・庄内でも見てもらう機会をつくりたい」と話している。

妙法寺で発見された西郷隆盛の書、月照の墨画とみられる掛け軸

 京都の寺院の住職だった月照は尊王攘夷主義に傾倒し、安政の大獄で幕府から追われる身となり、1858年に京から薩摩に逃れ、西郷とともに錦江湾に入水自殺した。この時、西郷は奇跡的に一命を取り留めた。

 帯広市で見つかった掛け軸は縦127㌢、横30㌢で、月照が描いた自画像とみられる墨画「達磨葦航の図」に、西郷の漢詩と「南洲書」、印が添えられている。西郷の漢詩は「この人(月照のこと)は蓬然と去っていった。大きな川の流れも軽くなった。その教えは文字以外のところにある。これからも東方を見守っていてくれるだろう」といった内容で、月照の死を悼んでいる。

 掛け軸を納めた木箱に墨書された須田の解説では「月照の生前には西郷は南洲の号を持たなかった。この掛け軸は他の人が月照の画を南洲のもとに持ってきて、題詩を請うたものだろう」と推測し、「題詩のその筆勢の奔放なさまからは南洲晩年の作であること疑いない。月照の墨画はただでさえ珍しいうえ、南洲が題詩の筆を執っている。天下の絶品というべきものである」と記されている。

 解説文の末尾には「壬午孟春」とあり1942(昭和17)年1月に書かれたものとみられる。須田が誰に鑑定を依頼されて解説を記したかは不明。

 妙法寺は、須田の故郷で本人直筆の書簡を保存している酒田市立光丘文庫や、「ほっかいどう筆跡鑑定研究所」の協力を得て解説文の筆跡鑑定を行い、先月になって須田の筆跡で間違いないことを確認した。

掛け軸が納められた木箱。須田古竜の名前で解説が書かれている

 須田は酒田生まれ。郡立酒田中学在学中に詩作を始め、後に漢詩人の馬杉雲外らに指導を受け、「東北詩壇第一の人」と称された。結婚後も詩文に熱中し、書画の鑑定などで生計を立てていた。清河八郎の事跡調査に生涯をささげ、著書に『清河正明伝』『酒田聞人録』などがある。『清河八郎詳伝』を著そうと志していたが、果たせずに亡くなった。

 帯広市の妙法寺の掛け軸は40年ほど前、澤田住職(80)がおはらいに出向いた東北の民家の家主から譲り受けたものという。寺の倉庫で保管していたが、明治維新150年の昨年10月檀家(だんか)の一人が「南洲書」の文字から西郷の書の可能性があると気が付き、西郷と月照の合作作品の真贋(しんがん)にもつながる解説の須田について調べていた。澤田住職は「今後須田の古里・庄内地域を訪れ、西郷と月照の作品を見てもらう機会をつくりたい」と話している。

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