ソフトボールを対象にした中学校部活動の地域移行実証事業に参加する生徒たち（能代市土床体育館で）

　能代市教育委員会がソフトボール競技を対象に、中学校部活動の「地域移行」の実証事業を行っている。東雲、能代二、能代南の市内３中学校と三種町琴丘中のソフトボール部を１クラブに集約した「ＮＯＳＨＩＲＯソフトボールクラブ」を立ち上げた上で、部活動が学校の手を離れても円滑に運営できるかを把握するのが目的。24日は同市落合の市土床体育館に、４校のソフトボール部１、２年部員13人とスポーツ少年団でソフトボールに取り組む小学６年生５人が集まり、地域の指導者の下、熱のこもった活動を繰り広げた。

　部活動の地域移行は、少子化による生徒数減少で学校単位の部活動の継続が困難になっていることや、教員の長時間労働解消などを狙いに、国が全国の自治体に推進を求めている。能代市では昨年12月に作成した推進計画に基づき、６年度と７年度で学校部活動の地域移行を段階的に進め、８年度には国が求める休日の部活動だけでなく平日の部活動も含め、地域のスポーツクラブなど民間の団体に完全に委ねる方針でいる。
　実証事業は、市教委が昨年６〜９月に開催した関係者ワークショップで部活動を地域クラブ１チームに集約することで合意形成が図られたソフトボールの取り組みを軌道に乗せるとともに、市における地域移行のモデルケースにもしようと実施。市教委生涯学習・スポーツ振興課によると、学校部活動から地域部活動への移行第１号となる「ＮＯＳＨＩＲＯソフトボールクラブ」は能代二中の２人、能代南中の１人、東雲中の６人、琴丘中の４人の計13人をメンバーに昨年９月に設立済みで、６年度中体連主催大会への参加クラブとして認定も受けたという。
　クラブのメンバーは学校部活動として週末を中心に合同練習を行っているが、部活動顧問の教員不在の中で活動する実証事業の形では、昨年10月22日に次いでこの日が２回目。能代二・能代南・東雲合同チームコーチで４月からクラブの監督に就任する鈴木淳さん（49）＝同市田子向＝の指導の下、春にはクラブに入会予定の能代サンライズ、能代ゴールデンスターズ両スポ少の小学６年生５人を加えた18人で、キャッチボールやバッティング練習のほか、間近に迫ったシーズンインに向けて試合形式の練習にも取り組んだ。
　今後は３月までの実証事業を経て、４月から平日は学校部活動、週末は地域移行運営主体（市スポーツ協会）による地域部活動という形が本格始動する。キャプテンの渡邊俐子さん（東雲中２年）は「（鈴木さんら地域の指導者が）いろいろ教えてくれるし、学校の部活動ではない活動も違和感はない。みんなで楽しく戦い、全県優勝など上を目指したい」と意気込む。
　鈴木さんは「地域クラブへの移行は地域の競技熱を冷まさないためにも必要な取り組みで、自分が少しでもその力になれればと思っている。勝ちたいと思っている子、楽しんで活動したいという子、それぞれに合った指導を心掛けていきたい」と話していた。
　生涯学習・スポーツ振興課は「練習会場までの送迎や活動のサポートに保護者の方々も協力的で、実証事業は特に支障なく運営できている。こうした成果を蓄積しつつ、他の競技でも地域移行に取り組むとなった際に情報として提供しながら、地域部活動への完全移行を推進していく」としている。