魚の人工のすみか造成 長野県が諏訪湖で試行
諏訪市豊田沖の諏訪湖に試行的に設置した浮き魚礁。在来の魚やエビ類が増えるかを中長期的に調査する
長野県諏訪地域振興局は15日、諏訪市豊田沖の諏訪湖に試行的に造成した浮き魚礁(人工の魚のすみか)を報道関係者に公開した。水生植物を生やすいかだ状の浮き9基を湖面に浮かべたり、直下の湖底に自然石を積み上げたりして魚介類の生息環境や産卵空間を創出。諏訪湖漁業協同組合や県水産試験場諏訪支場と連携し、在来の魚やエビ類が増えるかを中長期的に調べる。
県民や団体、企業などからの提案事業を県が選定し、予算化する県民参加型予算の事業。諏訪湖漁協が提案し、今年度当初予算に事業費が計上された。諏訪湖創生ビジョンで掲げる「生き物と共存する諏訪湖」や生態系、漁獲量の回復を目指す。
9基の浮きはいずれも2メートル四方で、旧六斗川の河口沖に浮かべて固定した。木枠の中には諏訪湖畔の土を敷いており、自然に草木を生やしたりヨシやマコモを植栽したりして根を水中に伸ばす。湖底には約100立方メートルの自然石を積み上げ、魚類が石のすき間を利用できるようにした。今後、魚食性鳥類のカワウが羽根を乾かす場所にしないように対策を施す。
水生植物が豊かで、現状の60倍に相当する年間500トンの漁獲量があった昭和40年代の湖内環境がモデル。設置場所の近くにはかつて、「渋のエゴ」と呼ばれる入り江状の水生植物帯があったが、埋め立てや護岸改修で消失した。
効果検証の指標には昭和40年代に普通に見られたタモロコ、モツゴ、ウキゴリと、エビ類の4種を用い、漁協が月1~2回の頻度で投網を打つなどして、生息状況と変化を調べていく。調査は設置前の昨年7月から開始した。浮きは冬季結氷時も撤去せずに通年設置していく。
同振興局と県諏訪農業農村支援センターは「最低でも5年は調査を続け、効果が認められれば周辺エリアに広げてたい。他湖沼の試験魚礁についても研究を進める」としている。
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