「青い目の人形」の本2冊 本多さんが出版
戦前に米国から日本に贈られた「青い目の人形」についてまとめた本2冊を、県立東三河高等技術専門校副校長の本多徹さん(59)=幸田町=が出版した。
正式名称は「友情人形」。1927年3月、ひなまつりに合わせて、米国から日本へ1万2739体が贈られた。小学校や幼稚園に行き、大歓迎された。当時、米国では日本からの移民が低賃金で長時間働いていたため「国民の仕事を奪う」として、日米関係がぎくしゃくしていた。これを改善しようと人形を贈った。
その後、41年に太平洋戦争が始まると、人形の運命は一変する。「敵国人形」となり、各地で処分された。空襲で焼けたケースもあり、現存する人形は約340体で全体の3%程度と少ない。しばらく忘れられていたが、73年にテレビ番組で紹介されると、全国で「探したら出てきた」と話題になった。
一方で日本からは、市松人形の美術品クラスの高級品を「答礼人形」として58体、27年12月のクリスマスに贈っている。現在も47体が残っており、現存率は81%と高い。
これら歴史的背景や日米の違いを2冊の本で紹介する。8月には「青い目の人形 フレンドシップ・ドールズ」を刊行。9月には図や表をふんだんに入れた「図解 青い目の人形」を出した。講演で使える資料になるようようイメージしたという。
東三河には豊橋市の西郷と細谷、豊川市の御津南部、田原市の田原中部、新城市の東陽、設楽町の田峯の6小学校に現存する。うち西郷小の「コネタ」について、なぜ残ったのかを紹介する。
本多さんは「友好親善の象徴だった人形が、敵国人形となり97%が失われた事実は重い。普通の人々が戦争によって狂気に飲み込まれる恐ろしさと、その中で人形を守った人がいたことを知ってほしい」と話す。2冊とも1000円(税別)。大手通販「アマゾン」のみで買える。
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