松くい虫被害防止へ 能代市「風の松原」で薬剤散布始まる

大型送風機を使って大量の薬剤を散布(能代市の風の松原で)
能代市の砂防林「風の松原」で26日、松くい虫の被害を防止する薬剤の地上散布が始まった。枯死の原因となる線虫を運ぶカミキリが羽化する前に行う防除作業で、大型送風機を使ってクロマツの葉に霧状の薬を吹き付けている。梅雨の合間を縫って、米代西部森林管理署が7月1日まで松原の全域で行う。作業時間帯は立ち入り禁止になる。
松くい虫はマツノマダラカミキリの体内に寄生した線虫で、松の内部で増殖し枯死させる。カミキリが移動することで被害が広がる。風の松原では平成11年に発生し、食い止められていない。昨年度は約2100本が枯れ、切り倒して破砕や薫蒸処理を行った。薫蒸処理した丸太は有効活用するため売り払いし、門脇木材(仙北市)が購入してバイオマス発電の燃料とした。
薬剤散布はこの時期に年1回実施している。米代西部署が管理する後谷地、大開浜の国有林など342㌶のうち、民家周辺を除く307㌶が対象で、来月1日まで6日間行う。天候不順の場合は9日に延期する。秋田市に営業所がある農薬卸業「ケーエス」(宮城県大崎市)が請け負った。事業費は約2700万円。残る35㌶は6~7年に1度の樹幹注入で段階的に対応しており、その年に当たる今年の冬に後谷地で64本を対象に行う。
6日間の作業で2456㍑の薬剤と368㌧の水を使う。大型送風機の口から高さ20~30㍍の松のてっぺんを目指して勢いよく飛ばし、松葉に薬を付着させる。送風機の噴射が届かない奥地はかっぱを着た作業員が長いホースを持って松林に分け入り、全体に行き渡るよう丁寧に散布している。ケーエスは「薬の付いた新芽を食べるとカミキリが死ぬ」と効力を説明する。
県によると、カミキリが羽化して木の中から脱出するのが6月下旬~7月下旬。カミキリが活発的に行動する前に作業日を当て、梅雨の晴れ間に集中的に行う。周辺の民家や散歩する人への影響を考え、作業時間は夜明けの午前4時から正午に限定している。
米代西部署によると、風の松原の松くい虫被害(伐採駆除)は平成27年度に1400立方㍍と前年度に比べ倍増し、28年度も1274立方㍍と高止まりしたが、29年度~令和3年度は400~700立方㍍で推移。4年度は569立方㍍の被害木を伐採した。
米代西部署は「継続して防除作業を実施することで地域の財産である松原を守りたい」と話している。
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