昨年度は年間来館者数が初めて５千人を突破した能代バスケミュージアム。多彩な展示物が人気

　能代市柳町の能代バスケミュージアムの年間来館者数が、昨年度初めて５千人を突破した。人気バスケ漫画「スラムダンク」を原作にしたアニメーション映画「ＴＨＥ　ＦＩＲＳＴ　ＳＬＡＭ　ＤＵＮＫ」の国内外での大ヒットもあって、今年に入って一気に来館者数が増加。映画に登場する高校バスケ界の絶対王者「山王工業」のモデルとされる能代工（現・能代科学技術）の地元を〝聖地巡礼〟する韓国や台湾からの観光客も来館するなど、バスケの街・能代の専門資料館が注目されている。同ミュージアムでは今後、観光客向けの企画も考えてさらに多くの人を呼び込みたいとしている。

　同ミュージアムは、高校バスケ界の名門・能代工の知名度を生かし、バスケの街づくりを推し進めようと、市が平成24年に畠町の空き店舗を改修して開設。バスケに特化した国内でも珍しい資料館で、同校バスケ部をはじめＢリーグ秋田ノーザンハピネッツ、ＮＢＡなどの関係グッズや記録、書籍などを数多く所蔵・展示。展示スペースが手狭で、建物の老朽化もあって令和２年に柳町の空き店舗へ移転した。
　移転前の平成30年度に過去最多の４５８１人、令和元年度に３８３２人が来館。移転で展示スペースが３倍になった２年度は４０５７人と増えたものの、３年度は新型コロナウイルスの影響で３１９２人と大幅に減少した。
　４年度は５０４９人が来館し初めて５千人を突破した。月別に見ると、３年ぶりに能代カップが開催された５月が５６０人、帰省シーズンの８月６４０人と多くなるのは例年の傾向だが、３月が７３７人と突出。１日に１００人を超える日もあったという。
　昨年12月に公開が始まり、国内はもとよりアジアでもヒットしたアニメ映画「ＴＨＥ　ＦＩＲＳＴ　ＳＬＡＭ　ＤＵＮＫ」が後押しになったとみられる。映画全編で描かれるのが、主人公が所属する湘北と山王工業とのインターハイ２回戦。山王工業は、高校バスケ界の絶対王者という設定で、ゾーンプレスで攻めるプレースタイルもまさに能代工そのもの。映画のヒットでモデルとされる能代工が注目を集めた。
　同ミュージアムでは、映画のポスターや国体に出場した時の能代工の４番のユニホームといった展示物が人気を集めているという。山王工業の４番・深津一成の「推し活」として訪れる20代後半ぐらいの女性が目立ち、20代の男性も増えている。自作した深津のお面を持参して、４番のユニホームと合わせて記念撮影をするファンもいた。
　映画が爆発的にヒットした韓国や台湾から訪れる人も十数人を数え、同ミュージアムや能代科学技術高が山王工業の地元として〝聖地巡礼〟の場になっている。韓国からの来館者は「能代カップも見にきたい」と話していたという。同ミュージアムのツイッターのフォロワー数は５千人を超え、「能代バスケミュージアムに行くべき」などと情報が拡散。また、「能代カップを観戦したいが、ホテルは」「能代科学技術の練習は見られるのか」といった問い合わせも同ミュージアムに舞い込んでいる。
　今後、旅行シーズンには来館者のさらなる増加が期待され、同ミュージアムを所管する同市市民活力推進課バスケの街づくり推進担当の諸澤駿主任は「情報発信力を強化し、能代のバスケのコンテンツをＰＲしていきたい。観光客向けの企画も展開し、たくさんの人に楽しんでもらえるように努力していく」と話した。