ゆうれい寿司、文化庁「100年フード」に認定【宇部】
吉部の伝統料理、市内第1号
地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を文化庁が認定する「100年フード」に、宇部市吉部地区に伝わる「ゆうれい寿司(ずし)」が選ばれた。真っ白な見た目が特徴の押しずしで、祭りやお盆など特別な日のごちそうとして地域に親しまれ、伝承されてきた。認定は昨年度から始まり、市内の第1号となった。
認定には、江戸時代から続く「伝統」、明治・大正時代に生み出された「近代」、これから100年を目指す「未来」の3部門があり、2回目となる今回は全国の自治体や民間団体からの90件の応募に対し70件が選ばれた。
ゆうれい寿司は、ゆず酢で風味を付けた押しずし。具が一切なく、真っ白な見た目と「具が消えた」という表現から、そう呼ばれてきた。江戸時代中期から伝わるため、市生活改善実行グループ連絡協議会楠地区(井上清美代代表)が「伝統」で応募した。
同会では、伝承を目的に1978年ごろから販売を開始。酢飯にエソのミンチを混ぜ込み魚介のうま味を加えた上、上段に白い酢飯、下段に地域の季節の山菜などを混ぜ合わせた酢飯と、山海の風味があふれる現代風にアレンジした。
現在は井上代表(78)と会員の千々松和子さん(80)の2人を中心に楠こもれびの郷やイベントなどで販売している。井上代表は「幼少期には祖母がゆうれい寿司を祝い事などで作ってくれ、必ず食べていた。選ばれて光栄。多くの人に昔ながらの寿司を食べてほしい」と喜んだ。
市地域ブランド推進課の櫻田牧子さんは「会員の皆さんが今後も活動を続けられるように力添えをしていきたい」と話した。
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