奄美の復帰劇、町民らが熱演 瀬戸内町 先人の苦労や願い描く

日本復帰を目指して立ち上がった島人たちを熱演した演者ら=12日、鹿児島県瀬戸内町古仁屋
鹿児島県瀬戸内町のきゅら島交流館で12日、奄美群島の日本復帰70周年を記念した演劇「私たちの望むものは」が上演された。小学2年生から60代までの町民ら26人が、戦争や戦後の行政分離で揺れ動いた奄美の人々の苦労や願いを表現。約150人が来場し、演者たちの熱演を鑑賞した。
瀬戸内町教育委員会が2022年度から始めた総合芸術教室「せとうちシアター塾」事業の一環。演劇を通して、参加者に表現力やコミュニケーション力などを身に付けてもらうことを目的としている。今回の脚本・演出は奄美市名瀬出身の映画監督、富岡忠文さん(65)が手掛けた。
劇は現代の瀬戸内町に暮らす子どもたちが、友人の祖母の体験から戦時中や米軍統治下の奄美について知る物語。本土との断絶や貧困、差別などのさまざまな困難や、日本復帰を目指して団結した島人の不屈の精神を描き、現代と過去の場面が交互に切り替わる演出で臨場感あふれる舞台を展開した。
エンディングでは演者らが「争うことではなく助け合いながら、自分たちで未来をつくり上げていくことが大切」と平和を願うメッセージを伝え、最後に全員で主題歌「私たちの望むものは」を歌った。演者たちの情感豊かな熱演に会場からは大きな拍手が響いた。
劇を鑑賞した林和美さん(50)=同町古仁屋=は「加計呂麻島出身の母から聞いていた当時の話と同じ場面が出てきた。演技がとても上手だった」と話した。米軍統治下時代の高校生、貴美子を演じた中学生は「いろんなことを知り、たくさんの人と関わることができた。本当にやって良かった」と笑顔を見せた。
富岡さんは「演者たちに芝居を通して非日常の面白さを感じてもらえた。奄美の過去についても理解するきっかけになったのでは」と語った。
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