地域の伝統 新たな伝承、小野小6年生が紙すきで卒業証書作り【宇部】

地元の伝統和紙を使って自分たちの卒業証書を作ろうと17日、旧小野中の紙すき場で小野小(菊池直樹校長、21人)の6年生3人が地域の人たちに指導されながら紙すきを行った。3月17日の卒業式で校章の透かしが入った手作り卒業証書が児童に手渡される。
小野地区では、和紙の原料になる「コウゾ」が多く自生していることから、かつては和紙作りが盛んに行われていた。旧小野中の生徒たちは2016年3月に統合で閉校するまで毎年、卒業証書用の手すきの和紙を作っていた。
伝統の学校行事を引き継ごうと、小学生が今回初めて卒業証書作りに挑戦した。指南役は小野観光推進協議会文化伝承部(末田昭男部会長)の4人が務めた。
昨年末に文化伝承部のメンバーが地元で採取したコウゾを蒸して皮を剥ぎ、たたいて繊維をほぐし、紙素と呼ばれる和紙の原料に加工。これを紙すき場に設置された大きなすき舟の中で、水とのり(トロロアオイの根由来の粘液)と一緒に溶きほぐした。
これらを均一になるようによくかき混ぜた後、児童は「かせ」と呼ばれるA3サイズの木枠を水の中でくぐらせ、前後に揺すって水を切った。かせには校章入りのものもあり、これらを使い分けながら何枚も紙をすいた。和紙はプレスして水を抜いた後に乾燥させ、印刷会社で最終加工される。
古谷泰我君は「はがき大の紙すきはしたことがあるが、卒業証書用は木枠が大きくて重たかった」、才木晃太朗君は「6年間のいい思い出になる」、川脇怜士君は「地元に伝わる和紙を使った卒業証書が楽しみ」と目を輝かせた。
末田部会長は「これから毎年、6年生が自分たちの卒業証書を作り続けてほしい。地域の文化祭やいろいろなイベントで小野和紙を広めたい」と話した。
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