危険な空き家を地域で解決 田辺市の取り組みが注目

県外からの視察を受け、田辺市の空き家対策について説明する建築課の濵本栄二さん(田辺市役所で)
老朽化した空き家の増加が全国的な課題となる中、和歌山県田辺市の取り組みが注目されている。市が空き家の所有者と隣接住民の間に立ち、解体費と登記費程度で売買が成立するよう斡旋(あっせん)する制度。危険な空き家を地域の協力で解決する手法で、全国から視察や問い合わせが相次いでいる。
市の実態調査(2018年)によると、市内の空き家数は1760件、空き家率は4・8%。中には放置されたまま老朽化が進み、倒壊の危険がある建物もある。
そうした空き家の所有者は遠方に住んでいたり、高齢だったりして管理されていない場合が多い。解体費用の負担が困難で、やむなく放置しているケースもある。一方で近隣の住民は、空き家の倒壊や火災などの不安を抱えている。
そんな課題を踏まえ、2017年度に始めたのが市独自の斡旋制度だ。「不動産流通に乗らないような物件であること」「所有者や相続人が遠方または高齢で、将来的に管理不能だと予測されること」といったルールの下、市が所有者と隣接住民の間に入って意向を確認し、解体費と登記費程度で売買できるよう働きかける。
これによって、所有者はほぼ自己負担なしで空き家を処分できる。隣接住民は地域の安心安全を確保するとともに、取得した土地を駐車場や家庭菜園などに活用できる。市にとっても、懸案だった空き家問題が解決できる。
制度開始から、今年7月末までに33件(賃貸含む)が成立。国土交通省に先進事例として紹介されるなど、注目されている。
◆相次ぐ視察
市によると、この制度についてはこれまで、全国の自治体などから30件を超える問い合わせが寄せられているという。
8月上旬には、福井県鯖江市から議員や職員が視察に訪れた。
田辺市建築課の濵本栄二さん(51)が制度や事例について説明。「空き家の所有者や相続人はさまざまな要因から解決策が見いだせず、どうしたらいいのか分からなくて放置してしまっていることが多い。行政は突き放すのではなく、寄り添う姿勢が大切」と強調した。
視察した議員の一人は「鯖江市でも空き家問題には頭を悩ませている。田辺市の積極的な取り組みに感銘を受けた」と話した。
本年度はほかに、兵庫県や大分県からも視察を受け入れている。10月にも宮崎県から視察に来る予定という。
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