アツモリソウ保護回復を 美ケ原高原で上農高生が人工授粉
アツモリソウの再生を願って美ケ原高原で人工授粉をする上伊那農業高校の生徒たち
美ケ原高原のアツモリソウ保護回復事業に参画する上伊那農業高校(南箕輪村)の生徒たちが17日、松本、上田、長和の3市町にまたがる高原で、アツモリソウの人工授粉を行った。絶滅の危機にあるアツモリソウの無菌培養増殖に取り組む同校が、開花個体を確実に結実させるために行う5年目の取り組みで、生徒たちは、「幻の花」の再生を願って花粉をつけた。
バイテク班・生命探究科植物コースの3年生6人が実習を兼ねて現地で作業した。生徒らは同時に開花している個体を選んで、花粉を別の個体の雌しべの柱頭につける他家授粉を行った。初めて授粉を体験した田中瑞歩さんは「実物は思っていたよりも小さく、花の構造も複雑で難しかった」と作業を振り返った。
他家授粉は同じ花で授粉する自家授粉に比べて受精率が高まるとされ、結実が確認できれば8月中旬以降にさやを採り、培地に播種(はしゅ)して無菌培養に入る。指導する有賀美保子教諭は「花の状態が良かったので、うまくいくと思う」と話した。
アツモリソウは県の特別指定希少野生動植物に指定される保護の対象種で、乱獲やシカの食害、生育環境の悪化で個体数を減らしている。人工授粉の作業を終えた野溝彩奈さんは「自然を守るための貴重な体験ができたことがうれしい。自分たちの授粉で種が採れたらもっとうれしい」と笑顔を見せた。
同校は13年前に始めたアツモリソウの無菌培養の研究を基礎に、2016年度に美ケ原個体群の人工交配に着手した。他家授粉が実現した18年度に無菌培養した個体が、芽の元になるプロトコームを形成。翌年、根や芽への分化にまでこぎつけ、今年度は土に移植し、順化させる段階に進んでいる。
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