多層民家「いぶり出し」始まる
鶴岡市の致道博物館(酒井忠久館長)の旧渋谷家住宅(国指定重要文化財)で9日、この時期恒例の「いぶり出し」作業が始まった。強風の日以外、毎週木、日曜日の週2回、3月中旬まで続く。
旧渋谷家住宅で行われているいぶり出し作業=9日
旧渋谷家住宅は豪雪地帯特有の多層民家。1822年に旧朝日村田麦俣で建てられ、1965年に現在地へ移築。薫蒸によるかやぶき屋根の防虫、防腐など建物の保存を目的に毎年いぶり出しが行われている。
9日は、初めて務めるという太谷淳子さん(64)=同市羽黒町手向=と佐藤妙子さん(54)=同市神明町=のアルバイト2人が火の番。午前9時すぎから新聞紙、スギの葉に着火すると、剪定(せんてい)枝などをいろりにくべて火を大きくしていった。煙はもうもうと立ち上り、瞬く間に4層構造の建物の隅々まで広がった。
「幼少の頃を思い出す」と2人。時折訪れる観光客に対応しながら、いろりの火を見守ってゆったりと流れる時間を過ごしていた。
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