ウチダザリガニを釣り上げる親子
長野県伊那市高遠町藤澤の千代田湖に生息する特定外来生物「ウチダザリガニ」を捕獲する釣りイベントが2日、同湖で開かれた。親子ら約30人が参加し、釣りをしたり実際に食べたりして、親子で楽しみながら外来生物の影響や「命をいただく」意味などを考えた。
同市地域おこし協力隊の石井基裕さん(32)が中心となり、環境維持活動や外来生物への理解を深めてもらおうと企画。外来生物の存在を伝えることで子どもたちが学び、触れる機会とし、食材としての活用で自然界の循環にもつなげたいという。
ウチダザリガニは最大体長約15センチの淡水性ザリガニで、カナダや米国に自然分布し、日本には食用として持ち込まれた。在来水生生物の捕食や巣穴作りによる河岸浸食などの影響が懸念されているという。千代田湖では、数年前に生息を確認した。
石井さんから外来生物やウチダザリガニについての話を聞いた参加者たちは、湖に移動すると竹ざおにたこひもを結んだ釣りざおなどを使い、スルメを餌にして釣りを行った。ザリガニを見つけると近くにエサを垂らして匂いでおびき寄せ、エサに食いつくとゆっくりと引き上げて網やバケツですくい取り、次々と捕まえていった。この日は合計99匹を釣り上げた。
釣りを楽しんだあと希望者は、ウチダザリガニの活用に着目する料理屋「ざんざ亭」(同市長谷)が調理した「ザリガニランチ」を実食。風味を付けて炒めたものや身を使ったポタージュなどのザリガニ料理とパンや地元野菜を使ったサラダなどが乗ったプレートで、じっくりと味わっていた。
家族5人で参加した高遠小4年の児童(10)は「ザリガニがかかるかかからないかドキドキして楽しかった。プリプリしていておいしかった」とにっこり。石井さんは「外来生物の話に子どもたちが予想外に食いついてくれていて、意識してくれているんだなと思った。イベントを開いたり、話をしたりすることで理解者を増やしていきたい」と話した。
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