富士見パノラマのレストランで昼食前に資源循環の仕組みを教わる都市部の子たち。堆肥になる紙コップが一人ひとりに用意された
一般社団法人・富士見パノラマリゾート(長野県富士見町)は27日、スキー場内の落ち葉やレストランの食品残渣などで堆肥を作り、自社農園や山野草公園で活用する環境配慮型プロジェクトを本格始動させると発表した。施設から出る生ごみを捨てず土にかえし、循環堆肥で育てた作物を食事メニューで使ったり、山野草の保全活動で役立てたりする取り組み。資源循環の促進で自社や地域の付加価値を高め、選ばれ続ける観光地を目指す。
八ケ岳地域で循環型社会構築を目指す地域商社「FOOD AGRI NEXT LAB」(山梨県北杜市)と連携し、今年度は助走期間と位置付け、収集した落ち葉をラボの堆肥場に持ち込んで職員が堆肥づくりを体験した。植物由来の生分解性樹脂を使用する三菱ケミカルの紙コップを導入し、施設で出る食品残渣とともに使用済み紙コップも堆肥にする計画だ。
堆肥場は自社で用意し、町内で資源循環を完結する仕組みにする。入笠山山麓の”恵み”でもある落ち葉は1シーズンで10トン以上を収集できる見込みという。
自社農園では特産の赤いルバーブなどを育てており、循環堆肥で育てた作物を食事メニューや加工商品で取り入れていく。ゴンドラ山頂駅の周辺に広がる山野草公園でも活用。落ち葉の収集や堆肥場見学、食事などをセットにした教育旅行・体験プログラムも柱にする考えで、27日はラボの八木橋晃代表が来訪し、町の友好都市・川崎市など都市部の子どもたちに富士見パノラマが取り組む資源循環について解説した。
スキー場がある西山地域の他の事業者とも連携する活動に発展させ、ゆくゆくは町全体に広げたい考えでいる。雨宮和彦常務理事は「スキー人口の減少やエネルギー価格の高騰など、さまざまな課題や社会変化に対応できる基盤づくりが必要。プロジェクトは今後も選ばれる観光地への第一歩になる。企業価値をより高め、地域活性化にも貢献したい」と話している。
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