ガンプラ廃材燃料に 能代市落合浜で神奈川大生が小型ロケット打ち上げ成功

勢いよく飛び立ったハイブリットロケット「石田丸」(能代市の落合浜で)

日の出前から打ち上げ準備を進める神奈川大の学生ら
神奈川大の航空宇宙構造研究室と宇宙ロケット部は8日、能代市の落合浜でハイブリッドロケットの打ち上げ実験を行った。人気アニメ「機動戦士ガンダム」のプラモデル(ガンプラ)の組み立て時にでるプラスチックの廃材(ランナー)を燃料としたロケットはごう音とともに空高く飛翔し、高度4185㍍(速報値)に到達。一方で、搭載していた気圧高度計やGPSビーコンなどに不具合が生じたため、機体を回収し原因を調べるとした。
同研究室と同部による単独実験は平成30年、昨年に続き3回目。昨年の実験では高度10・1㌔に到達し、ハイブリッドロケットの高度日本記録を更新した。
今回は高度30㌔を目標に全長4・7㍍、外径20・5㌢の「石田丸」「高階丸」の2機を製作。機体は2段式分離機構を備え、無線を用いてパラシュートの展開をモニタリングできるほか、着水後はフロートを展開し、GPSビーコンとシーマーカーで位置を特定し回収できるようにした。
また、同部がバンダイナムコグループのガンダムオープンイノベーションのパートナーチームに選ばれていることから、BANDAISPIRITSの協力でガンプラの使用済みランナーを回収。プラスチック再生技術を持つ信州大の協力を得て、ハイブリッドロケットの燃料を開発、活用した。
機体は昨年打ち上げたものに比べ、酸化剤や燃料タンクの容量を大型化し飛距離の向上を狙った。しかし、大型化に伴う打ち上げ費用が増加したため、学生の発案でクラウドファンディングを実施したところ、目標額(600万円)を大きく上回る903万5千円が集まった。
8日は「石田丸」を使用。学生たちは前夜から準備を進めたが、当日の上空約10㌔以上の高層大気の風が強かったため、高度の日本記録更新を断念。能代沖の航路に支障を及ぼさないようにランチャーの角度を調整した上で午前6時ごろに打ち上げた。学生や教職員、スポンサー企業の社員ら約50人が見守る中、ロケットはごう音とともに飛び立った。
しかし、飛翔中にGPS信号が途絶し着水地点が分からなくなったほか、搭載していた二つの気圧高度計の値が矛盾し正確なデータの測定に手間取るなどトラブルが発生。海上の漁船で待機していた学生らが機体の捜索を行ったが、同日午後4時までに発見には至らなかった。
実験の責任者で神奈川大工学部の高野敦教授は「再生プラスチックを活用した燃料でロケットの打ち上げに初めて成功しただけでなく、水平方向の飛距離は20㌔を超える力があることが分かり、一定の成果を得ることができた」と語った。
「石田丸」の統括責任者、石田大和さん(4年)は「打ち上げ実験までにさまざまな苦労はあったが、無事に打ち上げることができて良かった。ただ、機体が発見できず、どうなっているのか心配」と話していた。
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