再出発の地は足寄 座間さんコーヒー店 「いつかは豆農園も」
道の駅「あしょろ銀河ホール21」そばの多目的観光施設に1日にオープンした、自家焙煎(ばいせん)コーヒーの店「珈琲座間屋」。札幌市から移住して店を切り盛りする座間ゆかりさん(44)は、会社勤めで心身のバランスを崩して休職するなど紆余(うよ)曲折があった。「老若男女気軽に立ち寄ってもらえるような店を目指したい。開店がゴールではない。いつかはコーヒー農園も」と意気込む。

焙煎機の前でにこやかにほほ笑む座間ゆかりさん。会社員時代の不調を乗り越え、足寄町でカフェをオープンした
座間さんは室蘭工業大を卒業後、システムエンジニア、遺伝子や再生医療の研究補助の仕事に従事。バイオベンチャー企業で同僚だった宏太さん(43)と2014年に結婚した。大学の遺伝子解析や薬品メーカーの治験の工程管理、報告書の作成など夜遅くまで業務に追われ、休日出勤も多かった。「仕事には120%の力で向かっていた。全速力でやってきて心の糸がぷつんと切れた」。体調を崩し、17年に休職。1年後に退職した。
強制的に立ち止まったことが大きな転機となった。「せっかくの人生。やりたいことをやろう」。もともとは好奇心旺盛で、以前は陶芸に興味を持ちカルチャーセンターや窯元で習っていた。休職後は「陶芸の個展を、着物を着て開きたい」と、着付け教室に通い、講師の資格も取得した。
移住先も探し始めた。足寄町には道東を回った際に休憩で立ち寄り、道の駅で食べたシュークリームに感動。興味を持ち町について調べた。「いろいろな人がいてエネルギーを感じた」と移住体験を経て昨年7月に本格的に暮らし始めた。
2人の共通の趣味にコーヒーがあった。札幌市に住んでいた時に一緒に喫茶店を巡った。好みの味に出合えなかったことから、生豆を取り寄せ自身で焙煎したことが発端となり、ますます魅了された。町商工会と相談を重ね、「はたらくものづくり村かってば」で週に1度店を開くなど、1年間の準備期間を経てオープンした「珈琲座間屋」。焙煎は宏太さんが担当する。
仕入れた生豆から雑味の原因となる不良豆をはじき、米をとぐように洗って乾燥させている。焙煎度合いの違う3種類のオリジナルブレンド(450円)をはじめ、複数のコーヒーを用意。町内の高橋菓子店のパンと、陸別のゲゼレ工房のソーセージを使ったホットドッグ(580円)や自家製どらやき(350円)も人気メニューだ。コーヒーの種類によって器との相性もあり、それぞれに合わせて自身が製作したカップの販売も視野に入れる。
座間さんの“研究熱”は高まるばかり。自家焙煎に飽き足らず「北海道で生豆を栽培できたら面白いのでは」。暖房だと経費が高くなるため温泉熱を考えている。今は自宅の鉢で8本を育て中。「ゆくゆくはビニールハウスで栽培したい」と笑う。
営業は午前11時~午後6時。不定休。問い合わせは同店(090・8899・9142)へ。
関連記事
広がる薄紅色 井戸尻史跡公園で赤ソバの花見頃 長野県富士見町
長野県富士見町池袋の井戸尻史跡公園で、赤ソバ「高嶺ルビー」の花が見頃を迎えている。復元住居や水車小屋を背景に薄紅色の小さな花が広がる光景を、訪れた人たちが楽しんでいる。 同公園では、春から初...
一般開放 容認できない 石垣駐屯地に申し入れ 市民連絡会
陸上自衛隊石垣駐屯地で7日開催予定の「石垣駐屯地やいまDAY(一般開放)」に対して、石垣島の平和と自然を守る市民連絡会(共同代表・上原秀政、白玉敬子、波照間忠)は2日午後、駐屯地正門の前で、展...
釧公大で「100円朝食」 期間限定、多くの学生が列【釧路市】
公立大学法人釧路公立大学(名塚昭理事長)は2日、学生に低価格で朝食を提供する「100円朝食」を期間限定で始め、多くの学生がボリューム満点の朝食を求めて列をつくった。 この取り組みは、学生の規...
オンデマンドタクシー実証実験 市民の新たな移動手段に【根室】
免許返納者や交通不便地域に居住する市民の新たな移動手段として「AIオンデマンドタクシー(予約運行型乗合タクシー)」の実証実験が2日スタートした。JR根室駅を中心に、半径2㌔圏内に設けた215カ所...