干しやぐらに掛けられたダイコン（あぐりてらす阿知須で）

　山口市阿知須地域で、ダイコンの寒漬け作りが最盛期を迎え、短冊干しやぐらに掛けられた白いダイコンのすだれが、寒風に揺れている。

　寒漬けは、塩漬けしたダイコンを寒風にさらして平らにし、熟成させて作る特産品。干し上がった後はしょうゆ、砂糖、みりんを混ぜた調味液に漬け込んで完成。約１年かけて仕上がった寒漬けは独特の甘さと歯応えが特徴だ。

　地元で６次産業化に取り組むあぐりてらす阿知須（長尾誠大社長）では、１０年ほど前から寒漬け作りを行っている。今年は約８０００本のダイコンをひもでくくり、干している。

　かつては多くの民家の軒先で見られた冬の風物詩。現在は阿知須地域でも３カ所でしか見られない。

　長尾社長は「寒漬けは各家庭の味で漬けるため、家ごとに味が異なる。ダイコン畑も干す光景も阿知須の大切な文化。次世代に残したい」と話していた。