池上秀畝の画業顕彰 生誕150年、美術館・博物館で企画展 長野県
伊那市高遠町歴史博物館で始まった池上秀畝生誕150年記念展「秀畝の画業」
明治時代から昭和にかけて活躍した長野県伊那市高遠町出身の日本画家、池上秀畝(1874~1944年)の生誕から150年を迎えた。中村不折、小坂芝田と並ぶ「伊那の三筆」と称賛され、近代の日本画壇を代表する作家として知られる秀畝。節目の年を迎え、その画業を顕彰する企画展が市内をはじめとする美術館、博物館で始まっている。
■郷土の代表作家 作品や業績紹介
秀畝は筑摩県西高遠町横町(現伊那市)に紙商兼小間物屋の次男として生まれた。15歳で上京後、花鳥画家の荒木寛畝の門人・内弟子となり、1894年の日本美術協会第6回展で2等賞を受賞して中央画壇デビュー。1916年から3年連続で文展の特選を受賞し、帝展では無鑑査、審査員を務めた。飯田出身で多くの名作を残した同い年の日本画家、菱田春草(1874~1911年)らとともに「日本画壇の新たな時代を築いてきた」とされる。
企画展は郷土の代表作家である秀畝を顕彰し、その作品や業績を紹介しようと企画。今月から6月にかけて市内の高遠町歴史博物館、信州高遠美術館、伊那市創造館、県伊那文化会館と長野県立美術館(長野市)、練馬区立美術館(東京都)でそれぞれ展覧会を開く。
■高遠町歴博では記念展スタート
このうち高遠町歴史博物館では記念展「秀畝の画業」がスタート。秀畝の掛け軸やびょうぶをはじめ、下絵やスケッチ帳、秀畝を写した写真パネルなど70点を展示している。
「太平記」に登場する楠木正成と正行父子が近江国桜井で分かれる場面を描いた「楠公訣別」(1926年)の隣りには同じ大きさの下絵を並べた。鉛筆や墨で描かれた下絵には正成の体の向きを大きく修正した跡があり、試行錯誤を感じることができる。
会場には紙屋を営む傍ら絵を描き、俳諧連歌を好んだ秀畝の祖父(休柳)と父(秀花)の作品も展示。同館学芸員の福澤浩之さんは「秀畝がどんな影響を受けて絵を描いてきたのか、作品につながる資料も一緒に見てもらえたら」とし、多くの来場を呼び掛けている。
同展は6月16日まで。毎週月曜と祝日の翌日休館。入館料は大人400円、高校生以下無料。問い合わせは同館(電話0265・94・4444)へ。
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