郷土の食文化継承へ 瀬戸内町がレシピ本出版 高齢者の思い出も添えて

出版された「うぇしょーろー」を手にする(左から)西田さんと田村さん=13日、鹿児島県瀬戸内町役場
鹿児島県瀬戸内町が1日に出版した郷土料理レシピ本「うぇしょーろー」が話題を呼んでいる。役場職員が1年間かけて請島、与路島、加計呂麻島含め町内9集落の高齢者から郷土料理のレシピを聞き取りまとめた一冊。行事の記憶や日常の思い出が方言交じりの語り口調で添えられており、同町は「高齢者の思い出話や児童生徒の郷土教育まで幅広い活用を」と話している。
「うぇしょーろー」とは、瀬戸内町で正月や祝いごとに行う「三献」の始まりに家長が掛ける言葉。先祖代々伝わってきた郷土の食事を受け継いでいこうと本のタイトルにした。
企画・編集に当たったのは保健福祉課の管理栄養士西田めぐみさん(49)と田村夏海さん(37)。「自分たちが盆や正月を行う立場になった時にきちんとできるか、子どもたちに答えられるか」と思ったのが調べて残そうとしたきっかけだったという。
2021年4月から取り組み始め、9集落約20人の高齢者にインタビュー。盆や正月など16の年間行事料理のほか、芋や豚など12種の食材別料理、そして減塩対策などをした管理栄養士アレンジレシピ4品を盛り込んだ。
レシピには手書きのイラストと高齢者の記憶も掲載。「そうめん・うどん」の枠には「そうめんは作らんけどうどんは作りよった。アメリカの配給がメリケン粉だったから。具はネギくらいだね」など、語った高齢者が育った米軍政下時代の記憶が記されている。
田村さんは「この本をきっかけに、読んだ人が自分の家のレシピや思い出を親や祖父母に聞いてどんどん書き込んでいってほしい」と笑顔。西田さんは「食事の背景にある先人が生きた歴史や食に込められた願いも届けたい」と話している。 本はA4横版、84ページ。
関連記事
豊橋で「花男子」がフラワーアレンジ教室 花贈り文化普及へ
豊橋市は、「親子で出来る!フラワーアレンジ教室」を同市東七根町の「道の駅とよはし」で開いた。花の仕事に携わる有志「花男子プロジェクト」のメンバーがブーケ作りを教えた。 記念日などで花をプレゼ...
「本スタグラ厶」で読書活動推進 能代市渟南小、取り組み2年目
能代市渟南小(矢田部瑞穂校長)の図書委員会が、全校児童に読書意欲を高めてもらおうと、好きな本をイラストと文章で紹介する「本スタグラム」と題した取り組みを行った。2年目の取り組みで児童に浸透...
乗降客185万人過去最多 24年宮古空港 前年比べ13万人増加 旅行需要..
2024年に宮古空港を発着した旅客数(乗降客数)は前年(172万3786人)より約13万人増の185万7279人で過去最多となったことが12日、宮古空港管理事務所(市空港課、伊計盛之課長)のまとめで...
6年ぶり諏訪湖新作花火 分散開催の新形式で再開へ 長野県諏訪市
長野県諏訪市の諏訪湖を舞台とする全国新作花火競技大会の実行委員会は12日、市役所で開き、6年ぶりに大会を開催する方向性を確認した。8月の諏訪湖祭湖上花火大会後、9月に開かれる大会として定着して...